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毎日新聞 2023/12/6 18:38(最終更新 12/6 18:38) 786文字
写真はイメージ=ゲッティ
世界保健機関(WHO)の傘下の国際がん研究機関(IARC)は、国際的に規制されている有機フッ素化合物のPFOAとPFOSの発がん性評価を引き上げたと発表した。PFOAを4段階のうち最も高い「人に発がん性がある」(グループ1)とし、PFOSを3番目の「人に発がん性がある可能性がある」(グループ2B)に分類した。
分類は人の発がんの原因となりうる証拠の強さを示す。グループ1にはアスベストやたばこ、アルコール飲料、カドミウムなどが分類され、2Bはガソリンなどが分類されている。
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IARCはPFOAの引き上げについて、ラットへの投与で肝細胞がんなどの発生に関連があるとする動物実験のデータや、人や人の細胞に対して発がん性と関連する特性を示した研究結果などを根拠としている。PFOSについては、人の細胞で遺伝子を傷つける酸化ストレスを示したことなどを根拠とした。
一方、人の疫学研究では、PFOAは腎細胞がん、精巣がんのリスクが高まるという研究結果が報告されているものの、証拠は限定的とした。その他のがんについては証拠は不十分とした。PFOSについても証拠は不十分としている。
PFOAとPFOSは近年、在日米軍基地や製造していた工場の周辺の河川や地下水などから相次いで見つかっているほか、研究者らの調査で人の血液からも検出されている。
これらは水や油をはじく、熱に強いといった特性を持つことから、食品の包装紙や布地のはっ水加工、半導体の製造工程、泡消火剤など、日用品から産業用途まで幅広く利用されてきた。分解しにくく環境に蓄積されるため、有害な化学物質を国際的に規制するストックホルム条約で「廃絶」の対象となり、国内でも製造や輸入などが原則禁止となった。
内閣府の食品安全委員会は5日、ウェブサイトにIARCの評価結果についてQ&Aを掲載し、情報提供している。【下桐実雅子】