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毎日新聞 2023/12/27 19:48(最終更新 12/27 19:54) 625文字
東日本大震災の震源域の日本海溝の底で見つかった断層崖=植田勇人・新潟大准教授提供
2011年の東日本大震災による断層のずれでできた高さ26メートルの「断層崖(だんそうがい)」を、世界で初めて宮城沖の深海(水深約7500メートル)で見つけたと、新潟大などのチームが発表した。一般的な内陸地震では、断層崖の高さは数十センチ~数メートルだが、8階建てのビルに相当する破格の規模だという。
チームは22年8~9月、民間企業が保有する水深1万1000メートルまで潜れる有人潜水艇を使って日本周辺の海溝を調査。震災の震源域になっている日本海溝の底で断層崖を見つけた。
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チームによると、震災で地盤が水平に80~120メートル動き、ずれが海溝の海底面に達した。その先端が急激に隆起し、後に崩れて断層崖ができたとみられる。隆起は高さ59メートルに及び、崖の斜面は崩落した岩で埋め尽くされていた。
日本海溝の底は、水深6500メートルを超える深海のため、日本には調査できる潜水艇や探査機はなく、陸上や洋上の遠隔地からしか観測できていなかった。
チームの植田勇人・新潟大准教授(地質学)は「日本周辺には大きな地震や津波を起こす海溝がたくさんある。海溝の底はこれまでアプローチの手段がなく、震災から10年以上分からないままだったが、地殻変動を正確に知ることができ、防災に生かせる成果だ」と話した。
成果は26日付の英科学誌(https://www.nature.com/articles/s43247-023-01118-4)に掲載された。【垂水友里香】