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毎日新聞 2024/1/29 09:35(最終更新 1/29 16:54) 538文字
通信の復旧した月探査機SLIMがマルチバンド分光カメラで撮影した「トイプードル」と名付けられた岩石の画像=2024年1月29日、JAXAのX投稿より
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、月面着陸に成功した小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」との通信が28日夜に復旧し、運用を再開したとX(ツイッター)で明らかにした。着陸後から発電できずにいた太陽電池が復活したとみられる。搭載するマルチバンド分光カメラで月面の岩石を撮影した画像の受信にも成功した。引き続き観測を進めるとしている。
SLIMのチームは29日午前8時過ぎ、Xに「昨晩SLIMとの通信を確立することに成功し、運用を再開しました!」と画像付きで投稿した。画像は「トイプードル」と名付けた着陸地点近くの岩石を分光カメラで詳しく撮影したもの。岩石は月の地下のマントル由来のかんらん石を含んでいるとみられ、月の起源や進化の研究に役立てる。
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探査機SLIMが月着陸直後に撮影した6個の岩石。犬にちなんだ名前が付けられている=2024年1月20日(JAXAなど提供)
SLIMは日本時間20日午前0時20分ごろ、目標の東約55メートルの地点へのピンポイント着陸に成功した。しかし、月面降下中に2基あるメインエンジンの一つが何らかの異常で脱落。エンジンが上向きになり、予定の姿勢から90度傾いて着陸した。太陽電池パネルが西側を向いたため、着陸後しばらく太陽光が当たらず発電できなかった。JAXAは、太陽光が当たる時期になれば発電再開が見込めるとして、SLIMに信号を送り続けていた。【田中韻】