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毎日新聞2024/7/10 東京朝刊有料記事873文字
法務省などが入る中央合同庁舎第6号館A棟=東京都千代田区で2019年2月、本橋和夫撮影
なるほドリ この間、大津市であった事件では保護司(ほごし)が殺害されたって聞いたよ。
記者 5月下旬(げじゅん)に起きた事件ですね。容疑者(ようぎしゃ)の男性は逮捕されて、専門家による精神鑑定(せいしんかんてい)を受けるため、病院などに留置(りゅうち)される「鑑定留置」となっています。
Q そうなんだ。でも、保護司っていう言葉を初めて知ったけど、どんなことをするの?
A 国家公務員(こっかこうむいん)として扱(あつか)われますが、民間によるボランティアです。刑務所(けいむしょ)からの仮釈放者(かりしゃくほうしゃ)や、非行少年らと定期的に面会して、助言や指導をしながら更生(こうせい)を促(うなが)す役割があります。研修費や交通費などの実費は支給されますが、それ以外の費用は支給されません。更生の支援(しえん)は「保護司に支えられている」と言われています。
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Q 全国に何人いるの?
A 保護司には定員があって5万2500人と定められていますが、長年満(み)たされていません。約88%の4万6358人だった2021年、国は「76歳未満(さいみまん)まで」としてきた再任条件(さいにんじょうけん)を2歳引き上げて「78歳未満まで」と改(あらた)めました。それでも、23年は4万6956人でした。
Q 不足しているんだね。
A 高齢化も進んでいて、23年の平均年齢は65・6歳です。保護司は新任時の年齢制限が原則66歳以下とされていて、企業や公務員などの定年退職者が主に担ってきました。保護司としての活動や研修が平日の日中にあることが多く、仕事を持っている人たちが保護司になりにくい実情があります。
Q 今回の事件もあったから、なりたいと思っている人が少なくなるんじゃないの?
A 小泉龍司法相(こいずみりゅうじほうしょう)は先月、保護司の不安解消に向けた緊急的(きんきゅうてき)な対応をした上で、安全確保策(あんぜんかくほさく)を取りまとめる考えを示(しめ)しました。秋までの策定(さくてい)を目指す方針(ほうしん)です。(社会部大阪グループ)