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毎日新聞2024/5/10 20:20(最終更新 5/10 20:21)694文字
紫外線で撮影した5月10日の太陽フレア=情報通信研究機構のホームページから、米航空宇宙局提供
太陽の活動が活発になり、最大クラスの太陽フレアが繰り返し起きているとして、国立研究開発法人「情報通信研究機構」(東京都小金井市)は、10日夜から数日間、全地球測位システム(GPS)や無線に障害が発生する可能性があると注意を呼びかけている。
太陽フレアは、太陽表面の黒点の近くで起きる巨大な爆発現象。エックス線などの電磁波や高エネルギー粒子、高温で電気を帯びたプラズマが押し寄せる。低緯度でオーロラが発生することがある一方、GPSや無線、送電網や人工衛星に障害を引き起こし、飛行機の乗客が被ばくしたり、携帯電話や放送、無線が断続的に使えなくなったりするおそれもある。
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今回は5段階ある爆発規模のうち、最大クラスが3日間で6回起きた。同機構宇宙環境研究室の津川卓也室長は「なかなか例がなく、かなり珍しい」という。「影響は早くて10日夜から数日間続き、太陽活動が活発な領域が地球側の面に残っているので、影響が数日延びる可能性がある」と話す。
一方、今回の規模では「人体被ばくのような影響は考えにくく、過度な不安を持つ必要はない。送電網への影響もこの規模ではないとみられる」と説明。「衛星、短波通信、GPSへの影響はあるので意識することが必要。携帯電話やカーナビはGPS以外の情報でも補正しており、影響はそこまで大きくないと思う」と話した。
総務省によると、太陽活動は約11年周期で強弱を繰り返し、次のピークは2025年。津川さんは「ピークに近づくにつれて、今回のような傾向は増える」との見通しを示した。同機構はホームページ「宇宙天気予報」で随時、太陽フレアの概況を発信している。【木許はるみ】