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毎日新聞2024/5/24 19:47(最終更新 5/24 19:47)576文字
木の根元で動き回るゴキブリ(写真はイメージ)=札幌市の円山公園で2023年9月6日午後7時34分、谷口拓未撮影
ゴキブリの雌が発する性フェロモンが雄の行動を制御する仕組みを解明したと、福岡大などのチームが発表した。雌は雄を巧みに近づけて周りにとどめ、効果的に交尾をしていると考えられ、チームはゴキブリ駆除剤の開発に生かせるとしている。
ゴキブリの性フェロモンには、主成分と副成分があり、いずれも強い誘引性を持つが、それぞれどんな役割をしているかはわかっていなかった。
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チームは、全国に分布するワモンゴキブリで、主成分や副成分を感じられない個体を作り、それぞれの成分に対する脳内の反応などを調べた。
すると、主成分は雄の行動を活性化する一方で、副成分は逆に活性を下げることがわかった。主成分は副成分の約10倍あるため、雄が遠方にいると雌に強く誘引される。しかし雌に近づくと副成分が効いて雄の行動が抑えられ、雌の近くにとどまるため、交尾がしやすくなると考えられるという。
チームの渡辺英博・福岡大助教は「性フェロモンと似た作用のある薬剤などを開発し、ゴキブリの交尾活動を抑えたり、強力な誘引剤を作ったりすることができるのではないか」と話す。
成果は4月、米学術誌「PNAS nexus」に掲載(https://academic.oup.com/pnasnexus/article/3/4/pgae162/7645973?login=false)された。【大野友嘉子】