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毎日新聞2024/8/7 東京朝刊有料記事685文字
「京都観光行動基準」を発表した門川大作・京都市長(左、当時)と田中誠二・市観光協会長=京都市役所で2020年11月、小田中大撮影
なるほドリ 最近、観光に関するニュースで「DMO」って聞いたけど、何のこと?
記者 観光地域づくり法人(Destination Management/Marketing Organization)のことです。観光データの分析や戦略の立案、観光商品づくりなどを通じて地域の「稼(かせ)ぐ力」を引き出す役割が期待されます。2024年4月時点で301団体が登録されています。
Q たくさんあるんだね。
A 数は増えましたが、地域の司令塔の役割を果たせていないケースもあります。観光庁が24年1月、DMOの機能を強化するため設けた有識者会議では、8割以上の法人が人材の確保や予算を課題に挙げていることが示されました。委員からは「プロモーション(宣伝)に終始しているDMOが多い。実際に効果があったか検証してほしい」との指摘がありました。
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Q 効果が出ている事例はあるの?
A 観光庁が「先駆的(せんくてき)なDMO」の一つに選定した和歌山県の「田辺市熊野ツーリズムビューロー」は、世界遺産・熊野古道(くまのこどう)に欧米や豪州から個人旅行客を受け入れる取り組みを続けてきました。地域で観光プランなどを作り、外国人客が宿泊、食事、語り部などを手配できるウェブシステムを整え、売上高も伸びています。
Q 観光地でお客さんが増えて地元の人たちが困っているという話も聞くよ。
A DMOの京都市観光協会は「京都観光行動基準(京都観光モラル)」を定め、地域のルールやマナーを守って行動するよう呼びかけています。オーバーツーリズム(観光公害)対策でもDMOへの期待は大きいです。(経済部)