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毎日新聞2024/8/17 東京朝刊有料記事664文字
朴喆熙(パク・チョルヒ)さん(61)
「新しい韓日関係を作っていく。両国国民が(効果を)肌で感じられる事業を推進したい」。駐日韓国大使に着任した9日、羽田空港で報道陣に抱負を述べた。知日派の覚悟がにじむ。
足で稼ぐ学者だ。日韓の専門家は「政治、学者、メディア、政府でこれほど人脈が広い人はいない」と口をそろえる。尹錫悦(ユンソンニョル)政権発足時、この人脈が日本の要人との面会に寄与した。
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日本の政治研究は、日本で2000年に出版された「代議士のつくられ方―小選挙区の選挙戦略」が代表作。政治改革で小選挙区制が初めて導入された1996年の衆院選で、激戦区の東京17区に密着し、自民党の平沢勝栄氏が公明党出身の大物議員を破って初当選した政治力学を分析した。「下から政治を見たことで、日本の政治がどう動くのか分かった」と振り返る。
98年に米コロンビア大学で博士号(政治学)を取得した後、中曽根康弘元首相が創設した研究所に身を寄せ、100人以上の政治家に会った。前職の国立外交院長の室長室の机には、旧知の仲だった安倍晋三元首相と一緒の写真を置いていた。
決断力があり、政策のアイデアマンとしての評価も高い。韓国では「曖昧なことを決定してくれる男」との意味で、「曖定男(エジョンナム)」と呼ばれることもある。
来年は日韓国交正常化60周年を迎える。現在の良好な日韓関係をより具体化し、「後退しない関係を作るのが私の使命」と意気込む。「韓日の信頼と協力を深められるなら、どこにでも駆けつけ、誰とでも会いたい」<文と写真・日下部元美>