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毎日新聞2024/9/7 東京朝刊有料記事731文字
宮崎・日向灘の地震について説明する地震調査委員会の平田直委員長(中央)=大野友嘉子撮影
なるほドリ 「スロー地震」という言葉を耳にしたよ。普通の地震と何が違うの?
記者 地下の岩盤(がんばん)に生じたずれを「断層(だんそう)」と言います。地震は断層が滑(すべ)ることで発生します。通常の地震では滑りが急激に起こりますが、スロー地震はゆっくり滑ります。地面はほとんど揺れず、私たちの生活に直接被害をもたらすことはありません。
Q どんな種類があるの?
A 「ゆっくり」の幅によって分かれます。断層の滑りが数日から数年間続く「スロースリップ」(「ゆっくり滑り」と訳すこともあります)や、約10~20秒周期の「超低周波(ちょうていしゅうは)地震」、約0・1~0・5秒周期の「低周波微動(びどう)」があります。それぞれが同時に起こる場合もあります。
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Q どうして注目されているの?
A 巨大地震と関係する可能性が指摘されているからです。2011年3月の東日本大震災では、9日に発生したマグニチュード(M)7・3の前震の後にスロースリップが起き、それが11日の本震(M9)の断層破壊につながったことが分かっています。
Q 南海トラフ巨大地震とのつながりも心配だよ。
A スロー地震は日本周辺の地震観測網が整備された結果、約20年前に世界で初めて、南海トラフの震源域の周囲で発見されました。宮崎・日向(ひゅうが)灘(なだ)で最大震度6弱を観測し、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が初めて発表された8月8日の地震(M7・1)では、数時間後から日向灘の浅い場所で超低周波地震と低周波微動が観測されました。この地震で壊れきらなかった「割れ残り」と、スロー地震が相互作用した場合、M8級の地震につながる恐れがあると警鐘を鳴らす研究者もいます。(くらし科学環境部)