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毎日新聞2025/1/28 21:05(最終更新 1/28 21:05)有料記事787文字
岡山県吉備中央町
発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が一部浄水場から高濃度で検出された岡山県吉備中央町は28日、全国初となる公費による血液検査の結果を公表した。解析を担当する頼藤貴志・岡山大教授は「一般と比べて高いという結果だった」との見解を示した。町は濃度と健康状態の関係はまだ明らかでないとした上で、長期的な健康調査を行う方針を明らかにした。
国は血中濃度の基準について、知見が不十分だとして値を定めていない。米国の学術機関は、7種類のPFASの合計が血液中で1ミリリットル当たり20ナノグラム(ナノは10億分の1)を超えると、健康上のリスクが増すとの見解を示した。町担当者は「米国の基準を参照している」と説明。20ナノグラム以上検出された住民は2歳以上で8割を超えた。
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環境省幹部は吉備中央町の結果を受け、十分な知見がなく「血液検査の結果をもって、健康影響の把握は困難だ」と強調。汚染が懸念される他地域で血液検査を実施する必要性については、懐疑的な考えも示した。
PFASの一種PFOAが、最も高い人で1ミリリットル当たり718・8ナノグラム、平均で135・6ナノグラムとなった。7種類の合計では平均で151・5ナノグラムだった。
分析対象は昨年11~12月に検査を受けた住民らで、2~12歳の65人、13歳以上の644人の計709人。
135・6ナノグラムというPFOAの平均値について、環境省幹部は「著しく高い印象は受ける。米国のガイドラインの7倍という数字が、どの程度の影響を及ぼすのかは分からない」とした。
吉備中央町では浄水場の水から、国の暫定目標値の28倍に当たるPFASを検出していたことが2023年に発覚。町の有識者委員会は取水源上流に置かれた「使用済み活性炭」が原因との見方を公表した。町は水源の切り替えを実施しており、現在は検出されていない。(共同)