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毎日新聞2024/9/24 東京朝刊有料記事809文字
旧統一教会の解散命令を請求するため、資料を運ぶ文化庁職員=文化庁提供
なるほドリ 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のニュースで解散命令請求(せいきゅう)という言葉をよく聞くよ。どんな手続きなの?
記者 旧統一教会は文部科学相が所轄する「宗教法人」として認められ、教義を広めたり、信者を獲得(かくとく)したりしています。一部の収入に税金がかからなくなる優遇(ゆうぐう)も受けています。ただ、宗教法人も一定のルールに違反(いはん)すると、特別な地位を失います。それが解散命令です。請求できるのは、行政機関や利害関係者、検事に限られています。
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Q 今回は何が問題になっているの?
A 請求した文科省が旧統一教会を調査したところ、旧統一教会が長期・組織的に違法な献金(けんきん)勧誘(かんゆう)や物品販売(はんばい)をして、賠償責任(ばいしょうせきにん)を認めた判決が32件あることが分かりました。文科省は、これらが解散命令の理由となる「法令に違反して、著しく公共(こうきょう)の福祉(ふくし)を害すると明らかに認められる行為(こうい)」や「宗教団体の目的を著しく逸脱(いつだつ)した行為」に当たると主張しています。
Q 過去に解散命令が出た例はあるの?
A 地下鉄サリン事件(じけん)を起こしたオウム真理教と、霊視(れいし)商法詐欺(さぎ)事件を起こした明覚寺(みょうかくじ)(和歌山県)だけです。2件に共通するのは、いずれも幹部らが刑事(けいじ)責任を問われた点です。旧統一教会のように民事責任が解散命令の根拠(こんきょ)となるかについては政府内でも議論がありましたが、文科省は解散命令制度が適用されると判断して請求に踏(ふ)み切(き)ったのです。
Q 請求は認められるのかな?
A 決めるのは裁判所です。旧統一教会側は法令違反に当たる行為はなく、信者からの献金は宣教活動や組織の維持(いじ)に使っていると主張しています。結論が出るまでしばらく時間がかかりそうです。(社会部東京グループ)