三菱重工業は12日、千葉工業大学と共同でトンネル事故現場など引火性ガスが充満した場所でも作業ができる遠隔操作式ロボットを開発したと発表した。石油化学プラントの自動点検など幅広い用途を見込む。
引火性のガスが充満した場所では電気火花や熱で爆発や火災が起きる危険がある。開発したロボットは千葉工大が東京電力の福島第1原発の廃炉作業に使うために開発したロボットをベースにした。内部の気圧を高めて外から引火性ガスが入り込まないようにしたり、引火を防止するバッテリーケースを採用したりするなど防爆性を高めた。
カメラやガス検知器を搭載し、事故現場の映像や引火性ガスの有無が確認できる。高い踏破性能を持ち、有線と無線で最大1キロメートル離れた場所から操作できる。
トンネル事故の現場ではトンネル内を換気する必要があるなど人が入れるようになるまで10時間以上かかる場合もある。ロボットを使って引火性のガスが発生していないことが確認できれば、すぐに人が入り救助活動などができる。
国内では消防・警察などを主な顧客に想定する。海外では石化プラントの自動点検のニーズが高く、今後は自動巡回システムの開発なども進める。価格は量産効果が出れば2千万~2500万円になる見通し。