原理原本 - 第一券
[05] 創造原理と堕落原理は愛から始まる
1 神様が人を創造されたのは、中和的なご自身を二性に分立して、この上ない愛の理想を実現しようとされたからである。また、被造世界を美化するために、万物も同様に創造され、万物にも愛の理想が表れるようにされた。
2 人は、このような万物から刺激を受け、さらに愛が高められることによって、どのような万物にも見られない最高の愛を交わすことができるように創造された。つまり、人の愛は、万物には無い性質を持っているのである。
3 人は、このような愛を持たなければならなかったが、堕落性を持ったために、それを成す事ができなかった。本来は、神様が、人を通して万物を愛することによって、美的世界を成し、全天宙が調和して一体となり、喜楽を共にするようになっていた。
4 それゆえ、天でも地でも、神様の愛を思い慕うのである。このように、神様の愛は、最高の理想であり、人だけではなく、万物や天使においても、喜楽と幸福と満足の中心であり、生命の根本となっている。それゆえ、神様の愛を多く受けることが、全ての存在の望みなのである。
5 本来、人間世界には、善悪の境界があってはならなかった。しかし、愛の問題によって、後に、その境界が生じたのである。善の世界である天国は、神様の愛の圏内であり、悪の世界である地獄は、神様の愛の圏外であるが、元から、このような天国や地獄があったのではない。
6 これは、堕落がもたらした結果である。また、悪の世界は、生命の根本である神様の愛から離れているため、たとえ地上であっても、死の世界だと言わざるを得ない。
7 それでは、人間の堕落の原因と悪の起源、また、悪に対する神様の姿勢などを、聖書を見ながら明らかにしよう。
8 創世記は、モーセによって記録されたが、その中の失楽園の物語は、事実通りに教示されたものではなかった。つまり、それは文字通りではなく、その事実は未来に明かされるものとして、その時は秘密だったのである。たとえ、その事実を明かしていたとしても、その当時の人々には、信じられない事であった。
9 失楽園の物語に記述されている堕落の根本、即ち、「善悪を知る木の実」は、神様が創造されたものである。人がそれを食べて堕落したということは、あまりにもよく知られている。しかし、その物語の核心は、人がそれを食べたということよりも、ヘビがエバを誘惑したということである。
10 もし、「善悪を知る木の実」を食べて堕落したということが事実だとするならば、大きな難問を抱えることになる。それが、人々の間で大きな問題となっていた。
11 その問題とは、「神様には能力があり、神様は全てをご存知であり、神様が居られない所は無いというのに、何故、人が堕落するように、そのようなものを置かれたのか」ということである。
12 しかし結局、話の焦点となるのは、「神様は愛であると言うが、根本的に堕落するように創造しておきながら、善い行いをしなさいとは、どういう事なのか」ということである。
13 しかし、悪の根源はサタンである。その存在が、天使長のルーシェル(これは韓国語由来の呼び方であり一般的にはルシファー)であったことは、誰もが知っている事である。
14 では何故、神様は、天使長が逆賊のサタンとなり得るように創造されたのか。また何故、そのような天使長を主管することができなかったのか。これらの問題は、非常に重要である。
15 創世記3章1節には、「さて主なる神が造られた野の生き物のうちで、ヘビが最も狡猾であった。ヘビは女に言った。『園にあるどの実からも取って食べるなと、ほんとうに神が言われたのですか』」と記されている。
16 このようにヘビが尋ねて、エバを堕落させようとしたのが始まりである。そのヘビにサタンが入ったという記述が無いため、そのヘビはサタンであったということが分かる。
17 つまり、サタンをヘビと表現したのである。従って、ヘビはサタンであり、サタンはルーシェルである。誘惑する者を、ヘビという名詞を使って表したのであり、それ自体がヘビなのではない。
18 ところが、今の信者たちは、エバを誘惑した存在が、本当にヘビだと思っている。しかし、そのヘビという動物には、最初から、人を堕落させる権限など無かった。何故なら、人は、万物を主管するように創造されていたからである。サタンは、それを知っていたはずである。
19 従って、そのようなヘビを使って、エバを誘惑しようとは思わなかったであろう。人を誘惑しようとすれば、もっと格の高い存在が必要である。それは常識的に考えても分かることではないだろうか。今まで、このようなことを明確にすることができなかったのは、神様の原理や摂理が明かされてこなかったためである。
20 しかし、今、それが明かされる時となった。今まで明かされてこなかった創造原理と堕落原理が明かされてこそ、神様のみ旨が成就されるその時期になったということが分かるのであり、また、今までこの世を取り戻そうとしてこられた神様の摂理の根本が、神様の愛であったということが分かるのである。
21 今こうして、神様の愛を必要とする終末という時代に到達したため、神様の原理や摂理の内容を、何としても全天宙に発表しなければならないのである。
22 無形世界に居られる神様は、初めに天使などを創造された。その後、天の無形世界の影として、有形実体世界の創造を始められた。
23 有形実体世界を創造される前に、天使を創造されたのは、有形実体世界の創造を手伝わせるためであり、また、報告や連絡をさせるためであった。そのような天使たちの中心、即ち、天使長が、逆賊の道を行くことになるルーシェルであった。
24 天使たちは、神様の理想を展開しようとするその有形実体世界おいて、み旨を手伝う存在でもあった。こうして、有形実体世界の理想が実現するときに、天使世界にも理想が付与されるようになっていた。しかし、天使たちは、このような神様の創造の根本意義を知らなかったのである。
25 有形実体世界が、神様の理想通りに実現されることによって、神様はもちろん、天使たちまでも喜び、全天宙が喜びに満たされるはずであった。しかし、この目的が、まだ達成されていないときに、堕落という不本意な出来事が起こってしまったのである。
26 これは、ルーシェルの行動によるものであった。この行動こそが、人間の苦悩の始まりとなり、地獄の始まりとなり、罪の始まりとなったのである。
27 神様が人と万物を創造されたその本意は、ご自身の形態と性質を展開することであった。このように創造された全てのものは、個性真理体となるのである。それゆえ、個性真理体には、根本真理体である神様の形態と性質が十分にあらわれていなければならない。
28 神様は、真理の根本であるため、唯一であり、永遠であり、不変の存在である。それゆえ、人や万物にも、真理の三大要素である唯一性、永遠性、不変性が備えられていなければならない。そうであってこそ、理想的な生存形態が保障されるのである。
29 そのために、神様は、人と万物を個性真理体として、ご自身の形態と性質があらわれるように創造されたのであり、蘇生、長成、完成という段階的な成長期間を経るようにされたのである。
30 つまり、まとめると次のようになる。個性真理体は、蘇生、長成、完成という期間を通過しなければならない。また、個性真理体には、唯一性、永遠性、不変性が備わっていなければならない。このような存在であってこそ善に属し、理想的な存在だと言えるのである。