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毎日新聞2024/10/26 東京朝刊有料記事809文字
パナソニックエナジー和歌山工場で生産される新型車載電池「4680」(右)。従来品の「2170」(左)に比べて5倍の容量を持つ
なるほドリ 電気自動車(EV)に使う電池を日本でたくさん作るんだって?
記者 車載(しゃさい)電池で世界シェア上位のパナソニックホールディングス(HD)は9月、和歌山工場で新型電池を量産(りょうさん)する体制を整えました。トヨタ自動車の電池子会社も、10月に「トヨタバッテリー」へと社名を変え、2026年の量産開始へ準備をしています。
Q そんなに電池が必要なの?
A 電池はEV製造コストの3分の1を占め、車の性能や価格も左右する重要な部品です。調査会社の富士経済(ふじけいざい)によると、地球温暖化対策の流れを背景に、走行中に二酸化炭素(CO2)を出さないEVが普及(ふきゅう)することで、50年の車載電池の世界市場は22年の4倍に当たる74兆3556億円に増えると見込まれています。
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Q 日本以外の国でも力を入れているの?
A 電池工場の建設には数千億円もの費用がかかります。中国の寧徳時代新能源科技(ねいとくじだいしんのうげんかぎ)(CATL)や韓国のLGエナジーソリューションなどの電池メーカーは、政府の強い支援のもと製造能力を増強しています。かつて日本勢は電池の分野で世界をリードしていましたが、しだいに投資競争で後(おく)れをとるようになり、20年ごろからは中韓勢に取って代わられています。
Q 日本は巻き返せるのかな?
A 政府は22年に「蓄電池産業戦略(ちくでんちさんぎょうせんりゃく)」を策定(さくてい)し、国内外の製造能力を高める目標を掲(かか)げました。車載用を含めた電池を国家の重要物資に指定し、24年9月にはパナソニックHDやトヨタなどの計画に最大3479億円を補助すると発表しました。日本の電池は性能や安全性に優(すぐ)れ、今後のEV普及に貢献(こうけん)するといわれます。こうした技術を生かして次世代の産業を支えるには、人材の育成や確保にも官民一体で取り組む必要があります。(経済部)