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『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』著者に聞く、2026年の世界と日本 / 2/2(月) / Forbes JAPAN
ピーター・ターチン(ジョエル・キンメル=イラストレーション)
「西洋先進国は暴動と激しい分断が渦巻く社会崩壊期に突入する」。アシモフのSF小説に登場する未来を予測する有名な学者ハリ・セルダンに例えられることもある、数理生態学・歴史学者ピーター・ターチンに米国、世界、日本の未来について聞いた。
——まず、あなたの提唱している理論について簡単に解説してほしい。
提唱しているのは構造・人口動態理論(SDT)だ。この理論は、国家として組織された大規模な社会が、二極化、社会的分断、制度的機能不全等によって、政治的な不安定性を周期的に経験する現象を説明している。理論では、短期的な事件に焦点を当てず、数十年にわたって蓄積する深い構造的圧力を追跡している。
2010年の『ネイチャー』誌に投稿した論文では、歴史データと、現代のアメリカと西欧の指標を用いて、この構造的圧力を算定し、以後10年間で不安定性が増大し、2020年にピークを迎える可能性が高いと結論付けた。
不安定化をもたらす構造的圧力を算定するにあたって、構造・人口動態理論では次の3つのプロセスの相互作用を強調している。
1つ目が、「エリート過剰生産」だ。政治、ビジネス、法律、アカデミアなどでのエリートを志願する人数が、権力の座を上回るペースで増加すると、エリート内で競争が激化する。挫折したエリート志願者の一部は、カウンター・エリート(対抗エリート)になり、大衆の不安を煽り、政治を二極化させる活動に従事するようになる。
2つ目が、「大衆の窮乏化」だ。非エリート層内での、停滞する賃金、格差の拡大、生物的・社会的健康の悪化によって、ウェルビーイング(幸福健康度)が低下する。これが進むと、大衆は不満を募らせ、大規模に流動する潜在的可能性が増大する。
3つ目が、「国家財政の脆弱性」だ。政府歳入が、増大する費用に追いつかないと、社会的ストレスに対処する国家の能力は低下し、危機の管理が困難となる。
この3つの圧力が同時に高まると、相互作用して強まっていく。大衆の不安が高まり、それをカウンター・エリートは既存エリートに対抗させるために組織化し、国家は国内秩序を維持する能力を徐々に失っていく。過去の歴史を見ると、こうした収斂は、「革命的状況」の兆候であり、革命や内戦へとスパイラル的に発展する危険性が高まる。
構造・人口動態理論から、こうしたダイナミクスは循環することが分かっている。混乱した時期の後には大抵、安定を回復させるための改革が行われるが、それも構造的圧力がまた蓄積されるまでしか続かない。2010年の予測の基礎になっていたのはこうした考え方だ。特定の出来事を予言したものではなく、不安定性を根底から引き起こす構造的な要因が激化していると評価したのだ。
暗殺事件数はピークを更新しており、しかも1960年代後半を上回っている
——最近の、チャーリー・カーク銃撃事件や、ニューヨーク市長選での急進左派ゾーラン・マムダニの当選についてどう考えているか?
チャーリー・カーク銃撃事件は、単発の事件でないことが重要だ。この1年間に暗殺(未遂)事件は7件も起こっている。暗殺事件数はピークを更新しており、しかも以前ピークである1960年代後半を上回っている。
ゾーラン・マムダニの予想外の当選は、アメリカで二極化とカウンター・エリートの影響力が増していることを示す一つの例だ。マムダニ以外にも急進的な左翼政治家が台頭し、2026年と28年の選挙で躍進すると私は予測している。
——しかし、あなたがエリート過剰生産の代表例としてよく上げているロースクール卒業者数は最近になって減少している。コロナ禍からの回復途上では低所得層の実質賃金は力強く上昇している。アメリカにおいて不安定性は緩和されつつあるのではないか?
エリート過剰生産の代理指標としているロースクール卒業者数はたしかに減少しているが、AIによる仕事の置換によって、そうした人向けの雇用機会はもっと大きく減少している。法律、ビジネス、政策、メディア、政治といった分野に視野を広げるとエリート志願者の予備軍全体は歴史的に見ても以前として巨大で、エリート層内での競争と二極化は以前として続いている。
大衆の窮乏化の代理指標としている労働者の実質賃金だが、たしかにパンデミック後には低所得層と典型的(中央値)労働者の賃金は上昇している。これは明るい材料だ。しかし、そのほとんどが、高インフレで相殺されてしまっている。さらに、過去数十年にわたる賃金の停滞と減少を帳消しにするほどの上昇ではない。他の構造的な問題——格差、住宅・健康保険のコスト、平均余命の縮小のような健康状態の悪化は未解決なままだ。
国家の脆弱性についても、財政逼迫は緩和されていない。財政赤字と政治的行き詰まりは、アメリカ国家の危機管理能力に制約を与え続けている。これは、過去最長の政府機関の閉鎖に見ることができる。さらに、政府機関への信頼は低下を続けている。
私の見解では、第二次トランプ政権の開始(2025年1月)とともに、アメリカは、革命的状況から、実際の革命へと移行したのだ。この革命は、、既存エリートを権力から排除し、アメリカの「文化遺伝子【ゲノム】」と国際舞台における役割を変革しようとする試みを特徴している。
最近、アメリカの構造・人口動態の状況を再検証し、不安定性を引き起こしている主要な構造的要因は、いまだにトレンド反転していないと結論付けている。
アメリカは不安定性を世界中に輸出している
——2020年の論文で、アメリカの不安定性は、ほかの西側諸国に伝染していると指摘している。今も続いているのか?
そうだ。トランプの国際舞台での行動は、これまでの世界秩序を損ねており、特に西ヨーロッパや東アジアのアメリカの同盟国に大きな影響を与えている。ある意味、アメリカは不安定性を世界中に輸出している。
——伝染は、西側諸国だけなのか?
アメリカの地政学的なライバル国には逆の影響を与えている。ライバル国はアメリカからの圧力の増大によって、内部的な結束を強めている。これはロシアと中国で最も顕著だ。
——その「内部結束」について聞きたい。あなたの理論では、社会の安定において、個人が社会に順応する「向社会性」の重要性を強調している。そして「向社会性」には、敵が必要だとしている。すると、社会を安定化させるには、ナショナリズム、集団同士の闘争、集団の均質・同質性(文化的多様性や移民の否定)といったものが必然的に導かれてしまうのではないか? もしそうなら、これは今の民主主義国家では許容が難しいのではないだろうか?
その質問は、このインタビューで扱うには大きすぎる問題だ。簡単に言うなら、国家間の競争は重要だが、戦争という致死的な形態を取る必要はない。必要な競争とは、市場における企業間の競争のようなものだと想定して欲しい。
次に、多様性は、分けて考えることができる。技術やアイデアの多様性は、ポジティブ要因だ。
しかし、協力形態の多様性は、社会全体で協力する能力を蝕むため、ネガティブ要因だ。これの簡単な例として、相互に理解できない言語を話す多数のグループから構成される人口集団について考えてみてほしい。そうした集団では、まとまった協力ができるだろうか?
——つい最近書かれた日本を分析した研究論文(未公開、『不和の時代(仮)』の日本語訳版に収録予定)について、簡単に紹介してほしい。
日本でも特に1990年代半ば以降、エリート過剰生産、大衆の窮乏化、国家財政の脆弱性という3つの圧力が進行している。つまり、政治的ストレス指標は上昇を続けている。2022年の安倍晋三銃撃事件とそれに続いた(岸田文雄元首相)暗殺未遂事件は、将来の大規模な不安定性の予兆と解釈できる。このままだと不安定性は2030年から40年の間にピークを迎える。しかし、高齢化によって1970年代のような大規模で暴力的な抗議活動やゲリラ運動が発生する可能性は低く、暴力事件が増加しても、知名度の高いエリートをターゲットにしたものになるだろうと予測している。さらに、この予測の正確性を評価するために、10年後に再検討することを計画している。
神谷宗幣はカウンターエリートの典型
——ロースクールを卒業したが法曹資格を取得できず、排外主義とポピュリズムを煽っている参政党を率いる神谷宗幣は、カウンターエリートの典型に見える。彼はカウンターエリートなのだろうか?
たしかに、神谷宗幣は、カウンターエリートの定義に当てはめることができるだろう。
——しかし、日本ではエリート官僚を志願する人は減っている(高級官僚の登用試験の競争率は低下傾向だ)。弁護士の収入分布もアメリカのような富める少数派と、困窮する多数派に二極化していない。日本でもエリート過剰生産は進行しているのか?
日本でもエリート過剰生産は進行中であり、構造的に重要な問題であり続けている。これはいくつかの指標で実証されている。
代表的な代理指標は、博士号取得者と非常勤講師の増加だ。これよってアカデミアの労働市場を、深刻に不安定化させている。博士号取得者の人数は、最近になって減少したが、取得者が就ける職の数も減少している。1970年代と比較すると、日本は制度的に吸収できる人数をはるかに超えた博士号取得者を排出し続けている。結果、狭まり続けるキャリアパスを求めて競争する高度な資格を持つ人材が余る状況が続いている。
同じダイナミクスを、官僚機構でも見ることができる。公務員ポストの採用競争率は、ピークからやや低下したが、それでも過去数十年と比べると、以前としてかなり高い水準にある。
これらから、日本ではエリートの地位が構造的に飽和状態にあるだけでなく、若年層世代がエリートの地位から長期的に排除されていることがわかる。その結果、世代的な断絶が生じており、幅広い不満と政治的幻滅が生み出されている。
日本はおそらく、世界で最も高齢の億万長者層を抱え、団塊世代のエリートが政治・行政・企業の要職を支配し続けているため、若年層のエリート志願者の上方への流動的移動が制限されている。さらに、立候補時の供託金制度の引き上げも証拠として挙げることができる。この引き上げは、政治エリート志望者間での競争が激化していることを示している。こうした傾向にもかかわらず、識者の多くは、日本とアメリカを比較して「日本の状況は良く、安定している」と結論付けている。こうした比較には問題がある。適切な分析には、日本自身の歴史的な軌跡を分析しないといけない。令和の日本では、昭和に比べて、構造的圧力が深刻であることが明らかになっている。
構造・人口動態理論のフレームワークは日本にも完全に適用可能
——ジャレド・ダイアモンドのようなほかの「ビッグヒストリー理論」では、日本の歴史や社会をうまく説明できていないように見える。あなたの理論は日本にも適用できているのか?
地球上のあらゆる地域の歴史は、その地域の独自性と、普遍的原理の組み合わせからなっている。日本は他の地域に比べて異常というわけではない。新著『大完新世変革』(未訳)では、私が主宰する歴史上のビッグデータを集めるセシャト・プロジェクトで構築したグローバル・ヒストリー・データバンクを用いて様々な国家を分析しているが日本も分析している。
本では、大規模複雑社会の進化を形作る普遍的原理を説明するのに、日本を何度か取り上げている。本ではいくつかの地域を比較して、日本の軌跡は二次的国家創生が起こった地域の典型例であり、イタリアのような国と類似していることを示している。東アジアでは、一次的国家形成は中国北東部で起こり、日本・韓国・ベトナムのような国は、中国から多くの文化的要素を借用した二次的国家だと定義している。
構造・人口動態理論のフレームワークも、日本にも完全に適用可能だ。日本は文化的に「例外」でも、分析的に風変わりな「外れ値」でもない。日本は、高い教育を受けた国民、成熟した議会制度、他の先進工業民主主義国家と比較可能な制度を備えたリベラルな立憲主義国だ。なので、日本の政治的・文化的分析において、構造・人口動態理論の要素で適用できないものは何もない。
——しかし、日本ついて分析したあなたの論文では、政治的ストレス指標と暴力事件数はあまり相関していない(アメリカでは強く相関している)。一方で、日本では、ユースバルジ(若年層膨張)のほうが、暴力事件数と強く相関している。これについてはどう考えているのか?
この質問には、2つのレベルで答えさせてほしい。
一般的なレベルでは、構造・人口動態理論を完全に成熟した理論と主張しているわけではない。日本についての論文で主な目的としているのは、日本を事例研究にして、構造・人口動態理論の予測を検証することにある。検証の結果、理論が、一部、あるいは多くの点で破綻する可能性は十分に認識している。理論になんらかの破綻があれば、社会が構造・人口動態的な危機に、どう対処すればよいかについて、もっと深く学び、理論を精緻化することができるだろう。
具体的なレベルでは、「暴力事件」とは局地現象、つまり限定的な死亡者を出す「ミクロな不安定性」の一つの事例に過ぎないことに注意してほしい。日本では、暴力事件数は、たしかにユースバルジ(若年層膨張)のほうが強く相関している。しかし、関心があるのは革命や内戦のような「マクロな不安定性」を理解することにある。なので、構造・人口動態理論の適切な検証には、2050年まで、つまり長期的に検証しないといけない。
高齢化は理論を決定的に修正させる?
——あなたの理論は、農業国家を理論化したもので、さらに『不和の時代』等で、理論が近代工業化国家にも適用可能であることを明らかにしている。この理論は、工業化社会以降、例えばポスト工業化社会(サービス業の比重が大きい国家)や、日本のような高齢化社会にも適用できるのか? 日本について分析した論文では、「高齢化は暴力事件数を低下させる」と指摘している。これからどの先進国も高齢化に向かう。高齢化という現象は人類史においてこれまでなかった現象であり、あなたの理論を決定的に修正させるのだろうか?
他には、財政についてだと、最近話題のMMT(現代貨幣理論)では、政府部門は赤字であることが基本・通常であると指摘している(例えば、増額する財政赤字に対応して「小さな政府」を志向したとされているレーガン政権だが、結果的には財政赤字を増やしており、GDPに占める政府部門の規模も減少させていない)。主流派経済学でも政府部門の赤字を擁護する見解が増えてきている。今の先進国において財政破綻は起こり得ないとするなら、あなたの理論で指摘されている財政による社会不安定化要因は、先進国ではもう機能していないのだろうか?
多くの問題を提起しているが、高齢化の影響だけに焦点を絞らせてほしい。
たしかに、過去の構造・人口動態危機では通常、ユースバルジ(若年層膨張)を伴っていたため、大衆の窮乏化の進行、エリート過剰生産、国家財政危機と、若年層縮小の組み合わせは、これまでにないものだ。つまり、従来までの不安定性を増大させる要因の組み合わせに、低下させる別の要因が追加されているわけだ。この過去にない組み合わせの結果がどうなるのかは、観察を必要としている。判明を待つべきだろう。
ただし、私の理論から日本の将来については、一つの仮説が導かれる。日本では構造的トレンドから、近い将来に革命が起こる可能性があるが、高齢化の影響からフランス革命や明治維新と比較して(犠牲者の点で)暴力的でないものになるだろう、というものだ。繰り返すが、これは仮説であり、まだ解決すべき研究課題は残っている。
PETER TURCHIN◎1957年生まれ。数理生態学・歴史学者。コネチカット大学名誉教授、オーストリア・ウィーンの研究機関『複雑系科学ハブ』プロジェクト・リーダー。複雑系科学を歴史に応用した歴史動力学(クリオダイナミクス)の提唱者。著書に『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』(早川書房、濱野大道訳)。
経済学101
https://news.yahoo.co.jp/articles/8dfa04d88c87d33f258d7c4a2c4b952ab5493223?page=1
『엘리트 과잉생산이 국가를 멸망시킨다』 저자에게 듣는 2026년의 세계와 일본 / 2월 2일(월) / Forbes JAPAN
피터 타친(조엘 킨멜=일러스트레이션)
“서구 선진국은 폭동과 격렬한 분열이 뒤얽힌 사회 붕괴 시기에 접어든다.” 아시모프의 SF 소설에 등장하는 미래를 예측하는 유명 학자 할리 셀던에 비유되기도 하는 수리생태학·역사학자 피터 타친에게 미국, 세계, 일본의 미래에 대해 물었다.
——우선, 당신이 제시한 이론에 대해 간단히 설명해 줬으면 한다.
제시하고 있는 것은 구조·인구동태 이론(SDT)이다. 이 이론은 국가가 조직한 대규모 사회가 양극화, 사회적 분열, 제도적 기능 부전 등을 통해 정치적 불안정을 주기적으로 겪는 현상을 설명한다. 이론에서는 단기적인 사건에 초점을 맞추지 않고, 수십 년에 걸쳐 축적되는 깊은 구조적 압력을 추적하고 있다.
2010년 『네이처』지에 게재한 논문에서는, 역사 데이터와 현대 미국 및 서유럽의 지표를 활용해 이 구조적 압력을 산정하고, 이후 10년 동안 불안정성이 증가해 2020년에 정점을 맞을 가능성이 높다고 결론지었다.
불안정을 초래하는 구조적 압력을 계산할 때, 구조·인구동태 이론은 다음 세 가지 과정의 상호작용을 강조한다.
첫 번째는 ‘엘리트 과잉생산’이다. 정치·비즈니스·법률·학계 등에서 엘리트를 지망하는 인원이 권력의 자리를 앞서는 속도로 증가하면, 엘리트 내부에서 경쟁이 격화된다. 좌절한 엘리트 지망자 중 일부는 카운터 엘리트(대항 엘리트)가 되어 대중의 불안을 부추기고, 정치를 양극화시키는 활동에 종사하게 된다.
두 번째는 ‘대중의 빈곤화’다. 비엘리트 계층 내에서 임금이 정체되고, 격차가 확대되며, 생물학적·사회적 건강이 악화됨에 따라 웰빙(행복·건강도)이 낮아진다. 이것이 진행되면 대중은 불만을 쌓아가고, 대규모로 흐르는 잠재적 가능성이 커진다.
세 번째는 ‘국가 재정의 취약성’이다. 정부 수입이 증가하는 비용을 따라가지 못하면, 사회적 스트레스에 대응하는 국가의 역량이 약화되고 위기 관리가 어려워진다.
이 세 가지 압력이 동시에 높아지면 상호작용하여 강해진다. 대중의 불안이 커지면서, 카운터 엘리트는 기존 엘리트에 맞서기 위해 조직화되고, 국가는 점차 국내 질서를 유지할 능력을 잃어간다. 과거 역사를 살펴보면, 이러한 수렴은 ‘혁명적 상황’의 징후이며, 혁명이나 내전으로 나선형적으로 전개될 위험이 커지고 있다.
구조·인구동태 이론에 따르면, 이러한 역학은 순환한다는 것이 밝혀졌다. 혼란스러운 시기가 지나면 대개 안정을 회복하기 위한 개혁이 이루어지지만, 그것도 구조적 압력이 다시 쌓일 때까지밖에 지속되지 않는다. 2010년 예측의 기초가 된 것은 이러한 사고방식이다. 특정 사건을 예언한 것이 아니라, 불안정성을 근본부터 초래하는 구조적 요인이 격화되고 있다고 평가한 것이다.
◇ 암살 사건 수는 정점을 갱신하고 있으며, 1960년대 후반을 넘어섰다
——최근 찰리 케크 총격 사건과 뉴욕 시장 선거에서 급진 좌파인 조란 마무다니의 당선에 대해 어떻게 생각하고 있는가?
찰리 커크 총격 사건이 일회성 사건이 아니라는 점이 중요하다. 지난 1년 동안 암살(미수) 사건이 무려 7건이나 발생했다. 암살 사건 수는 정점을 갱신하고 있으며, 이전 정점이었던 1960년대 후반을 넘어섰다.
조란·맘다니의 예상 밖 당선은 미국에서 양극화와 카운터 엘리트의 영향력이 커지고 있음을 보여주는 사례 중 하나다. 맘다니 외에도 급진적인 좌파 정치인들이 떠오르고, 2026년과 2028년 선거에서 도약할 것으로 나는 예측한다.
하지만, 당신이 엘리트 과잉생산의 대표 사례로 자주 언급하는 로스쿨 졸업자 수는 최근에 감소하고 있다. 코로나 사태 이후 회복 과정에서 저소득층의 실질 임금이 크게 상승하고 있다. 미국에서는 불안정성이 점차 완화되고 있는 것이 아닌가?
엘리트 과잉생산의 대리 지표로 삼고 있는 로스쿨 졸업자 수는 확실히 감소하고 있지만, AI에 의한 직업 대체로 인해 그런 사람들을 위한 고용 기회는 더욱 크게 줄어들고 있다. 법률, 비즈니스, 정책, 미디어, 정치 등 분야로 시야를 넓히면 엘리트 지망생 예비군 전체는 역사적으로도 이전과 같이 거대하며, 엘리트 계층 내 경쟁과 양극화는 이전과 같이 계속되고 있다.
대중의 빈곤화를 대체하는 지표로 삼는 노동자의 실질 임금이지만, 확실히 팬데믹 이후 저소득층과 전형적인(중앙값) 노동자의 임금은 상승하고 있다. 이는 밝은 소식이다. 하지만 그 대부분은 고인플레이션 때문에 상쇄되고 있다. 게다가 지난 수십 년간 이어진 임금 정체와 감소를 상쇄시킬 정도의 상승도 아니었다. 다른 구조적 문제—격차, 주택·건강보험 비용, 평균 기대수명 감소와 같은 건강 상태 악화는 아직 해결되지 않은 상태다.
국가의 취약성에 대해서도 재정 압박이 완화되지 않고 있다. 재정 적자와 정치적 교착은 미국 국가의 위기 관리 능력에 지속적으로 제약을 가하고 있다. 이는 과거 최장 기간의 정부 기관 폐쇄에서 볼 수 있다. 게다가 정부 기관에 대한 신뢰는 계속해서 떨어지고 있다.
내 견해로는, 제2차 트럼프 정권이 시작된(2025년 1월) 동시에 미국은 혁명적인 상황에서 실제 혁명으로 전환했다. 이 혁명은 기존 엘리트를 권력에서 배제하고, 미국의 ‘문화 유전자(게놈)’와 국제 무대에서의 역할을 변화시키려는 시도를 특징으로 한다.
최근 미국의 구조·인구 동태 상황을 재검토한 결과, 불안정성을 초래하는 주요 구조적 요인은 아직도 추세가 반전되지 않았다고 결론짓고 있다.
◇ 미국은 불안정성을 전 세계에 수출하고 있다
——2020년 논문에서 미국의 불안정성이 다른 서방 국가들에 전파되고 있다고 지적하고 있다. 지금도 계속되고 있는 건가?
그렇다. 트럼프의 국제 무대에서의 행동은 지금까지의 세계 질서를 해치고 있으며, 특히 서유럽과 동아시아의 미국 동맹국에 큰 영향을 미치고 있다. 어느 정도 미국은 불안정성을 전 세계에 수출하고 있다.
——전염은 서방 국가들만의 현상인가?
미국의 지정학적 경쟁국에는 반대의 영향을 미치고 있다. 경쟁국들은 미국의 압력이 커지면서 내부 결속을 강화하고 있다. 이는 러시아와 중국에서 가장 두드러진 현상이다.
——그 ‘내부 결속’에 대해 듣고 싶다. 당신의 이론에서는 사회 안정을 위해 개인이 사회에 적응하는 ‘사회적 성향’의 중요성을 강조하고 있다. 그리고 ‘동성’에는 적이 필요하다고 주장한다. 그렇다면 사회를 안정시키기 위해서는 민족주의, 집단 간의 투쟁, 집단의 균질·동질성(문화적 다양성 및 이민자 부정) 등이 필연적으로 이끌어질 것이 아닌가? 그렇다면, 현재 민주주의 국가에서는 받아들이기 어려운 것이 아닌가?
그 질문은 이번 인터뷰에서 다루기엔 너무 큰 문제다. 간단히 말하면 국가 간 경쟁은 중요하지만, 전쟁이라는 치명적인 형태를 취할 필요는 없다. 필요한 경쟁은 시장에서 기업 간의 경쟁과 같은 것이라고 생각해 주었으면 한다.
다음으로, 다양성은 구분해서 생각할 수 있다. 기술과 아이디어의 다양성은 긍정적인 요인이다.
하지만 협력 형태의 다양성은 사회 전체가 협력하는 능력을 잠식하기 때문에 부정적인 요인으로 작용한다. 이와 같은 간단한 예로, 서로 이해할 수 없는 언어를 사용하는 다수의 그룹으로 구성된 인구 집단에 대해 생각해 보길 바란다. 그런 집단이 과연 큰 협력을 이룰 수 있을까?
——최근에 발표된 일본을 분석한 연구 논문(미공개, ‘불화의 시대(가제)’ 일본어 번역본에 수록 예정)에 대해 간단히 소개해 주었으면 한다.
일본에서도 특히 1990년대 중반 이후, 엘리트 과잉생산, 대중의 빈곤화, 국가 재정의 취약성이라는 세 가지 압력이 진행되고 있다. 즉, 정치적 스트레스 지표는 계속 상승하고 있다. 2022년 아베 신조 총격 사건과 그에 이어진 (키시다 후미오 전 총리) 암살 미수 사건은 앞으로 대규모 불안정성의 전조로 해석될 수 있다. 이대로라면 불안정성은 2030년부터 2040년 사이에 정점을 맞이할 것이다. 하지만 고령화로 인해 1970년대와 같은 대규모·폭력적인 시위나 게릴라 운동이 발생할 가능성은 낮으며, 폭력 사건이 증가하더라도 인지도가 높은 엘리트를 표적으로 하는 형태가 될 것이라고 예측하고 있다. 또한, 이 예측의 정확성을 평가하기 위해 10년 후에 재검토할 계획이다.
◇ 카미야 소우헤이(神谷 宗幣)는 카운터 엘리트의 전형이야
——로스쿨을 졸업했지만 법조 자격을 취득하지 못하고, 배외주의와 포퓰리즘을 부추기는 참정당을 이끄는 카미야 소우헤이는 카운터 엘리트의 전형으로 보인다. 그는 카운터 엘리트인가?
확실히, 카미야 소우헤이는 카운터 엘리트 정의에 적용할 수 있을 것이다.
——하지만 일본에서는 엘리트 관료를 자원하는 사람이 줄어들고 있다(고위 관료 채용 시험의 경쟁률은 낮아지는 추세다). 변호사의 수입 분포도 미국처럼 부유한 소수파와 어려움에 처한 다수파로 양극화되지 않았다. 일본에서도 엘리트 과잉 생산이 진행되고 있는가?
일본에서도 엘리트 과잉생산이 진행 중이며, 구조적으로 중요한 문제로 계속 남아 있다. 이는 몇몇 지표를 통해 입증되고 있다.
대표적인 대리 지표는 박사 학위 취득자와 시간강사의 증가이다. 이것이 바로 학계 노동시장을 심각하게 불안정하게 만들고 있다. 박사 학위 취득자 수는 최근에 감소했지만, 취득자가 맡을 수 있는 직업 수도 줄어들고 있다. 1970년대와 비교하면, 일본은 제도적으로 흡수할 수 있는 인원을 훨씬 초과하는 박사 학위 취득자를 계속 배출하고 있다. 그 결과, 계속 좁아지는 커리어 패스를 찾기 위해 경쟁하는 고급 자격을 가진 인재가 남는 상황이 지속되고 있다.
같은 역동성을 관료 조직에서도 볼 수 있다. 공무원 직위의 채용 경쟁률은 정점에서 다소 하락했지만, 그래도 지난 수십 년과 비교하면 여전히 상당히 높은 수준이다.
이러한 점을 통해 일본에서는 엘리트의 지위가 구조적으로 포화 상태일 뿐만 아니라, 젊은 세대가 엘리트 지위에서 장기적으로 배제되고 있음을 알 수 있다. 그 결과 세대 간 단절이 발생하고, 다양한 불만과 정치적 실망이 생겨나고 있다.
일본은 아마도 세계에서 가장 고령인 억만장자층을 보유하고, 베이비붐 세대 엘리트가 정치·행정·기업의 주요 직책을 계속 장악하고 있기 때문에, 젊은 층 엘리트 지원자의 상방(상위) 이동이 제한되고 있다. 또한, 입후보 시의 보증금 제도 인상도 증거로 제시할 수 있다. 이번 인상은 정치 엘리트 지망자들 사이의 경쟁이 격화되고 있음을 보여준다. 이러한 경향에도 불구하고, 많은 전문가들은 일본과 미국을 비교해 ‘일본 상황이 좋고 안정적이다’라고 결론짓고 있다. 이러한 비교에는 문제가 있다. 적절한 분석을 위해서는 일본 자체의 역사적 궤적을 분석해야 한다. 레와 시대의 일본에서는 쇼와에 비해 구조적 압력이 심각하다는 것이 밝혀졌다.
◇ 구조·인구동태 이론 프레임워크는 일본에도 완전히 적용 가능
—— 제러드 다이아몬드와 같은 다른 ‘빅 히스토리 이론’으로는 일본의 역사와 사회를 제대로 설명하지 못하는 것처럼 보인다. 당신의 이론이 일본에도 적용되고 있는가?
지구상의 모든 지역의 역사는 그 지역만의 독특함과 보편적 원리의 결합으로 이루어져 있다. 일본은 다른 지역에 비해 이상하다고는 할 수 없다. 신작 『대완신세변혁』(미번역)에서는, 내가 주관하는 역사적 빅데이터 수집 세샤트 프로젝트로 구축한 글로벌 히스토리 데이터뱅크를 활용해 다양한 국가를 분석하고 있으며, 일본도 분석하고 있다.
책에서는 대규모 복잡 사회의 진화를 형성하는 보편적 원리를 설명하면서 일본을 여러 차례 다루고 있다. 책에서는 몇몇 지역을 비교하면서, 일본의 궤적이 2차 국가 창생이 일어난 지역의 전형적인 사례이며, 이탈리아와 같은 국가와 유사함을 보여준다. 동아시아에서는 일차 국가 형성이 중국 북동부에서 일어나고, 일본·한국·베트남과 같은 국가는 중국으로부터 많은 문화적 요소를 차용한 이차 국가라고 정의하고 있다.
구조·인구동태 이론의 프레임워크도 일본에 완전히 적용 가능하다. 일본은 문화적으로 ‘예외’도 아니고, 분석적으로 특이한 ‘외곽값’도 아니다. 일본은 높은 교육을 받은 국민, 성숙한 의회 제도, 다른 선진 산업 민주주의 국가와 비교 가능한 제도를 갖춘 자유주의 입헌주의 국가다. 따라서 일본의 정치·문화적 분석에서는 구조·인구동태 이론 요소로 적용할 수 없는 것이 전혀 없다.
——하지만 일본에 대해 분석한 당신의 논문에서는 정치적 스트레스 지표와 폭력 사건 수가 크게 연관되지 않는다(미국에서는 강하게 연관되어 있다). 한편 일본에서는 청년층 팽창(유스벌지)이 폭력 사건 수와 더 강하게 연관되어 있다. 이 점에 대해 어떻게 생각하고 있는가?
이 질문에 대해서는 두 가지 수준으로 답하고 싶다.
일반적인 수준에서는 구조·인구동태 이론을 완전히 성숙한 이론이라고 주장하고 있지는 않다. 일본에 관한 논문의 주요 목적은 일본을 사례 연구로 삼아 구조·인구동태 이론의 예측을 검증하는 데 있다. 검증 결과, 이론이 일부 혹은 여러 측면에서 붕괴될 가능성을 충분히 인식하고 있다. 이론에 어떤 파탄이 있다면, 사회가 구조·인구 동태적 위기에 어떻게 대처해야 하는지를 더 깊이 배우고, 이론을 정교화할 수 있을 것이다.
구체적인 수준에서는 ‘폭력 사건’이 지역 현상, 즉 제한적인 사망자를 발생시키는 ‘미시적 불안정성’의 한 사례에 불과하다는 점을 주의해 주었으면 한다. 일본에서는 폭력 사건 수가 확실히 청년층 팽창(유스벌지)과 더 강하게 연관되어 있다. 하지만 관심을 두는 것은 혁명이나 내전과 같은 ‘거시적 불안정성’을 이해하는 데 있다. 따라서 구조·인구동태 이론을 적절히 검증하려면 2050년까지, 즉 장기적으로 검증해야 한다.
◇ 고령화가 이론을 결정적으로 수정시키는가?
——당신의 이론은 농업 국가를 이론화한 것이며, 더 나아가 『불화의 시대』 등에서 그 이론이 현대 산업화 국가에도 적용 가능함을 밝히고 있다. 이 이론은 산업화 사회 이후, 예를 들어 포스트 산업화 사회(서비스업 비중이 큰 국가)나 일본과 같은 고령화 사회에도 적용될 수 있는가? 일본을 분석한 논문에서는 “고령화가 폭력 사건 수를 감소시킨다”고 지적하고 있다. 앞으로 모든 선진국이 고령화로 나아갈 것이다. 고령화라는 현상은 인류 역사상 지금까지 없던 현상이며, 당신의 이론을 결정적으로 수정시킬 수 있을까?
또한 재정에 관해서는 최근 화두가 되고 있는 현대통화이론(MMT)에서 정부 부문이 적자인 것이 기본·통상이라고 지적하고 있다(예를 들어, 증액되는 재정 적자에 대응해 ‘작은 정부’를 지향한 것으로 알려진 레이건 정권이지만, 실제로는 재정 적자를 늘리고 있으며, GDP에서 차지하는 정부 부문의 규모도 감소시키지 못하고 있다). 주류 경제학에서도 정부 부문의 적자를 옹호하는 견해가 늘어나고 있다. 현재 선진국에서 재정 파산이 일어날 수 없다고 한다면, 당신 이론에서 지적한 재정에 의한 사회 불안정 요인은 선진국에서 이미 기능하지 않는 것인가?
많은 문제를 제기하고 있지만, 고령화의 영향에만 초점을 맞추었으면 한다.
확실히 과거 구조·인구동태 위기에서는 보통 청년층 팽창(유스벌지)을 동반했기 때문에, 대중의 빈곤화 진행, 엘리트 과잉생산, 국가 재정 위기와 청년층 축소가 결합된 사례는 지금까지 없었다. 즉, 기존까지 불안정성을 증가시키는 요인들의 조합에, 이를 낮추는 또 다른 요인이 추가된 것이다. 이처럼 전례 없는 조합의 결과가 어떻게 될지는 관찰이 필요하다. 확인을 기다려야 할 것이다.
다만, 나의 이론으로 일본의 미래에 대해서는 하나의 가설이 도출된다. 일본에서는 구조적 추세로 보아 가까운 미래에 혁명이 일어날 가능성이 있지만, 고령화의 영향으로 프랑스 혁명이나 메이지 유신과 비교했을 때(희생자 측면에서) 폭력적이지 않은 것이 될 것이라는 내용이다. 다시 말하지만, 이것은 가설일 뿐이며 아직 해결해야 할 연구 과제가 남아 있다.
피터 터친◎1957년생. 수리생태학·역사학자. 코네티컷 대학교 명예 교수이자 오스트리아 비엔나 연구기관 ‘복잡계 과학 허브’ 프로젝트 리더. 복잡계 과학을 역사에 적용한 역사 동역학(크리오다이내믹스)을 제안한 사람. 저서로는 『엘리트 과잉생산이 국가를 멸망시킨다』(하야카와 서점, 하마노 다이도 번역)가 있다.
경제학 101
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