|
毎日新聞2024/11/1 東京朝刊615文字
ワールドシリーズ制覇を人生の目標に掲げていた岩手・花巻東高校時代の大谷翔平選手=花巻市の花巻球場で2012年1月29日午後4時3分、浅野孝仁撮影
ヤンキースを破り、ドジャースの選手らとワールドシリーズ制覇を祝う大谷翔平選手(左)=ニューヨークで31日、AP
「人間は目標を追い求める動物」はアリストテレスの名言だ。「目標に向かい努力することによってのみ、人生が意味あるものとなる」という▲「努力は必ず報われる。報われない努力があるならそれはまだ努力と呼べない」。こちらは王貞治さんの言葉。一本足打法習得のため、畳がすり切れるほど素振りを繰り返した世界の本塁打王らしい▲常人には難しい目標設定と努力を着実に続けてきたのだろう。160キロの球速から勝利への執念、信頼される人間性まで64項目の目標がびっしり書かれたマンダラのような表に驚かされる。米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手が花巻東高校時代に作成した▲人生設計シートもリアルだ。18歳での大リーグ入団、26歳での結婚とワールドシリーズ制覇など未来図を明記した。予定より遅れたが、ドジャースがヤンキースを破り、結婚と同じ年に大きな人生の目標を実現した▲高校時代の目標は英訳され、米メディアも報じた。64項目の目標設定など指導法を考案した教育専門家の原田隆史さんの「ハラダ・メソッド」に注目が集まり、選手指導に取り入れるスポーツ指導者も生まれているという▲二刀流の成功に続き前人未到の50―50を達成した大谷選手はヤンキースのジャッジ選手と並ぶ大リーグの看板スター。投手の勲章、サイ・ヤング賞が次の目標だろう。山本由伸投手も快投を見せ、野球のグローバル化を実感させたワールドシリーズ。「大谷の作り方」に全米の関心が集まるのも無理はない。