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人生の大半を老後資金づくりに努めてきたのに…銀行に預けた資産が「金融政策」の犠牲になる不条理。“役人の暴走”を止める強力な武器「現金」/ 2/4(水) / THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)
2026年現在、ようやく金利が上昇し始めたが、私たちが忘れてはならないのは、かつて日本や欧州で長期間実施された「マイナス金利政策」の教訓だ。実は、現金には中央銀行の極端な政策に対するブレーキとしての役割がある。預けているだけで貯金が減っていくマイナス金利下において、銀行から資金を引き出し、手元に現金で保管することは、個人の資産を目減りから守るための唯一の出口だった。国民がこの「現金化」という対抗手段を持っている限り、中央銀行は極端なマイナス金利を設定することができない。しかし、今進んでいるキャッシュレス化・脱現金の動きは、この出口を完全に塞ぎ、国民の資産を逃げ場のないデジタル管理下に置くリスクを孕んでいる。将来再び訪れるかもしれない不況や不当な資産の目減りから、自分たちの老後資金をどう守るべきか。ジェイ・L・ザゴースキー氏の著書『ザ・パワー・オブ・キャッシュ デジタル経済にこそ跳ね上がる現金の価値』(プレジデント社)より、現金の物理的な防御力を解き明かす。
日本が長年進める「マイナス金利政策」の搾取構造
多くの高齢者は、引退までの人生の大半を老後の資金づくりに努めてきた。この蓄えを元手にすれば、少しは利益が得られると期待しているのだ。
だが、世界中の中央銀行は近年、ゼロ金利政策を推し進めている。マイナス金利は、欧州では2014年から2022年までの期間、日本では長年にわたって採用されている。
マイナス金利は、預金者から資金を奪い取るもので、高齢者をはじめ、コツコツと蓄えてきた人々に対するいじめ以外の何物でもない。現金には、このような政策にブレーキをかける効果があり、現金を使えば、高齢者の蓄えを取り上げようとする役人を阻止できるのだ。
預けるだけで減っていく…マイナス金利の暴走を防ぐ「現金」
この問題を詳しく見ていくために、ちょっとしたたとえ話を使いたい。結婚式のような一大イベントのために多額の貯蓄を続けてきたとしよう。マイナス金利とは、大切な日の到来を待っている間に、蓄えの一部が勝手に没収されているようなものなのだ。
せっかくの蓄えをマイナス金利に盗まれない簡単な方法がある。現金で蓄えることである。現金なら、マイナスの利息を取られる心配もない。この策は、金利がプラスのときはよろしくないが、マイナス金利なら十分にありだ。
現金の存在は、中央銀行がマイナス金利の領域まで暴走するのを押しとどめるだけでなく、国内の金融機関で取り付け騒ぎが発生した場合でも、蓄えを保護する役割を果たす。
銀行の取り付け騒ぎはめったに起こるものではないが、大量の預金者がどっと押し寄せて預金を引き出せば、壊滅的な状況に陥る。実際、2023年、米国では、シリコンバレー銀行、ファーストリパブリックバンク、シグネチャー銀行の3行がそろって破綻している。
銀行預金ではなく、現金で手元に蓄えておけば、大規模な銀行取り付け騒ぎが差し迫った状況でも安心だ※。
※ Rose (2023)
もちろん、現代経済に銀行は重要な存在である。余剰資金を持つ人々から資金を預かり、資金を必要とする人々に振り向けることで、言い換えれば預金者の資金を借り手に回すことで、経済成長を劇的に促す役割を果たすのが銀行だ。中央銀行は、金融部門の安定性確保で重要な役割を果たしている。
銀行は現代経済で極めて重要なつなぎ目役であるが、銀行も中央銀行も時折、とんでもないヘマをしでかし、経済成長を損なうばかりか、世界の経済状況を揺るがすこともある。
脱現金が金利の基本原則を揺るがす
中央銀行は、世界の金融システムの監視役でもある。中央銀行の中でも、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行は、世界で特に有力な機関である。中央銀行が大きな力を持っているのは、政治的に保護された少数のメンバーに、金利の引き上げ、引き下げの権限が与えられているからだ。
金利は、誰も関心を寄せそうにない退屈な専門分野に見えるが、私たちの生活を大きく左右する。企業が事業を拡大するタイミングも、金利次第だ。
個人でも、家や車など大きな買い物に踏み切るかどうかとか、いつごろ引退する余裕が生まれるかなどは、金利に左右される。政府が大規模な公共事業の資金調達が現実的かどうかを判断する場合も金利が物を言う。
世界各国の経済は何千年もの間、単純な原則に基づいて運営されてきた。まず、貯蓄や支出抑制には、それなりの褒美がもらえるという原則だ。もう1つは、借り入れ(現時点で持っていない金額を消費すること)は、それなりの代償を伴うという原則である。
脱現金は、この2つの基本的な原則を覆す可能性がある。脱現金となれば、中央銀行は、マイナス金利を実施しやすくなる。マイナス金利は、節約志向の人々を痛い目に遭わせ、借金をする人々に褒美を与えることになる。
金利は「プラス」が常識だった
人類史の大部分では、貯蓄をすると、その資金に手をつけさせない代わりに利息が払われた。例えば金利が5%の条件で1万ドルを預けると、1年間手をつけない報酬として、元金の1万ドルに5%の500ドルが上乗せされる。
金利が一定になることはまずない。マクロ経済動向に応じて、上がったり下がったりする。だが、たとえ金利が低くても、預け入れの呼び水として、少ないながらも上乗せがあるのが常識だった。
金利の歴史を知るには、シドニー・ホーマーとリチャード・シラの共著『A History of INTEREST RATES』がおすすめだ。この大冊によれば、古代から現代まで世界の金利の移り変わりを丹念に描いている。数々の図表が掲載されているが、古代ローマから現代のアルゼンチンまでプラス金利を示している※。このため、マイナス金利の実施をにおわせただけで、大ニュースになるような時代だった。
※ Homer and Sylla (2005)
検討しただけで市場激震…香港の「マイナス金利計画」騒動
そのマイナス金利にいち早く手を出そうとした動きが、1987年12月の香港で見られた。その数年前の1983年、香港当局は、香港ドルと米ドルを1米ドル=7.75香港ドルの固定レートに設定した。1987年11月には、多くの投資家がこの固定相場制は崩壊すると確信するようになる。
その結果、外国人投資家が香港ドル買いに動き出し、現地銀行に蓄え始めたため、香港ドル切り上げの可能性が高まった。外国からの資金流入を食い止めようと、香港当局は、現地銀行のすべての大口預金を対象にマイナス金利の適用を計画中と発表した。
計画では、最低130万米ドルの預金に対してマイナス5.5%、2500万米ドル以上の預金に対して最大でマイナス88%のマイナス金利が適用されるとのことだった。
マイナス金利計画を発表しただけで、外国人投資家は香港ドル買いから売りに転じ、香港の銀行から資金を引き揚げることになった。その結果、香港ドル切り上げの必要はなくなり、マイナス金利も実施されることはなかった。
それでも、マイナス金利を検討中と言うだけで、当時は大きな衝撃を持って受け止められたのである。
リーマンショックが「マイナス金利」の転換点に
2008年、いわゆるリーマンショックで世界経済は深刻な低迷状態に陥った。この景気後退に対処しようと、多くの国々の中央銀行は、利下げに踏み切った。
2008年になるまでは、投機筋による香港ドルへの攻撃などの不穏な動きは別として、現実的にはゼロ金利が最低ラインと考えられていた。これは、金利をこれ以上下げられないという意味で「ゼロ金利制約」と呼ばれた。
ところが、景気後退が長引く中、各国の中央銀行は、この制約を破り、金利をゼロ以下に押し下げたのである。
特に重要な金利の1つは、EU加盟国の各銀行が欧州中央銀行(ECB)にオーバーナイト(翌日返済)で預ける資金に対して、ECBが支払う金利だった。
景気後退に突入した2008年10月時点では、この金利は3%を超えていた。だが、2012年から2013年にかけて、ECBはこれをゼロに抑え込んだのである。さらに、2014年から2022年まではマイナス金利になったのである。
マイナス金利とは、貯蓄すると痛い目に遭うということだ。例えばECBは、2019年10月から2022年6月までマイナス0.5%の金利を設定していた。これは、1万ドルを1年預けていると、誰かが勝手に50ドルを持ち去ることを意味する。
マイナス金利はほかの国でも設定された。日本銀行は、2024年冬までの8年間にわたって、「日本銀行当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用する」といった方針をたびたび発表し、マイナス金利を維持した※。
※ Bank of Japan (2024)
短期的なマイナス金利政策は理にかなっているが…
マイナス金利になれば、貯蓄意欲が削がれる。言い換えれば、倹約に税金をかけるようなものだ。そんな課税に人々は嫌気して、余裕資金があれば即座に消費に回すようになる。長く保有すれば、価値が下がるからだ。
マイナス金利になれば、消費が刺激され、経済活動が活発になるため、景気後退期にマイナス金利を打ち出す中央銀行が増えたのである。
個人消費と投資の拡大で景気に弾みをつけるという考え方は、一時的あるいは短期的な対策としては理にかなっている。考え方としては、エンジンのかからないガソリン車を始動させる場合に似ている。車がなかなか始動しない場合、エンジンに少し多めに燃料を噴射することでうまく始動することがある。ただし、燃料を噴射しすぎると、エンジンが詰まり、別の問題を生じさせてしまう。
中央銀行がゼロに近いかマイナスの金利を長期間維持している状態は、このように車にたとえるとわかりやすい。ECBはゼロ金利とマイナス金利を合わせて10年にわたって実施し、2022年末にようやくゼロ金利を抜け出した。
長期間、金利が抑え込まれていると、人々の習慣が変わり、貯蓄よりも支出を志向するようになる。
現金がマイナス金利の「ブレーキ役」になる
銀行、とりわけ中央銀行は、現金を嫌う。現金は、マイナス金利を適用する力を削ぐからだ。仮に、今、中央銀行に、金利をマイナス5%に引き下げる力があるとしよう。私たちが1万ドルを1年預ければ、500ドル取られる計算だ。1年後には、9500ドルに目減りするのである。
だが、銀行から資金を引き出して、タンス預金にしておけば、1年後も元の1万ドルを維持できる。増えるわけではないが、目減りすることもない。
個人も企業も、マイナス金利の環境なら、預けてある資金を引き出して現金に換えられるのだが、多くはそうしない。資金を引き出さない理由としては、わずかな額を引き出して現金化し、その後、必要に応じて銀行システムに再び戻すのが面倒だからだ。
少額〜中程度の額の現金であっても、手元に保管する場合、それなりの費用がかかる。金庫を購入するか、貸金庫を借りる必要がある。引き出しの中やベッドマットレスの中に隠すといったタンス預金なら、保管費用はかからないが、盗難に遭うかもしれないし、うっかり古くなったマットレスを捨ててしまうかもしれない。
多額の現金を保管するとなれば、もっと費用がかかる。莫大な金額を扱う投資家なら、プラス金利に変わるまで、引き出しやマットレスに保管というわけにもいかず、庭に穴を掘って埋めるのも現実的ではない。金庫室を建設して多額の現金を保管するとしても、金庫室の警備・保護に警備員を雇うとなれば、ずいぶん費用がかかる。
だから、個人や企業は、しかたなくマイナス金利を我慢しようと考えるわけである。ただし、金利の引き下げが続けば、銀行離れと現金化が進む可能性は高い。
そこで、中央銀行による低金利政策推進にブレーキをかけたり、阻止したりする役割を担うのが現金だ。現金が使いやすくなり、銀行システムでの出し入れが容易になれば、ゼロ金利制約が維持される可能性も高まる。逆に脱現金となれば、この抑止力がなくなり、中央銀行はマイナス金利を実施し放題になる※。
※ 中央銀行は、現金のブレーキ効果を排除する手段の1つとして、独自のデジタル通貨の発行に関心がある(Ozili 2023)。
では、中央銀行には、どの程度の権限を与えるべきなのか。マイナス金利になると、中央銀行が経済をコントロールする権限はさらに大きくなる。現金が確実に存在し続ければ、中央銀行がコントロールする力は小さくなる一方、個人や企業の力が大きくなる。どの辺りで折り合いをつけるのか、絶対的な正解はない。
マイナス金利は、貯蓄意欲を削ぐことから、景気低迷を打開する特効薬とは言えない。マイナス金利は、景気後退という問題を解決する取り組みではあるが、今度は貯蓄の減少という別の問題が生じる。
人口の半数が貯蓄ゼロ…調査結果が示す、米国家計の脆弱性
米国で貯蓄しない人はどのくらいいるのだろうか。連邦準備理事会(FRB)が全米で無作為抽出した世帯を対象に3年ごとに実施している消費者金融調査という調査がある。貯蓄の習慣や意図を探るのが目的だ。
回答者には、「貯蓄なし」、「月末に余剰金があれば貯金する」、「定期的に貯金する」の三者択一で答えてもらった。2000年以降、「定期的に貯金する」を選んだ世帯は全世帯の半数に満たない状態だ。
この回答はあくまでも貯蓄の意図であって、回答と実態が必ずしも一致しているわけではないため、同調査では、後日、回答者に追跡調査を実施している。この1年の世帯支出額について、「所得を上回った」、「所得を下回った」、「所得と同じ」の三者択一で質問した。
当初の意図に関する回答結果と同じく、過去1年に貯金をしたとの回答は、全世帯の半数を下回った。
十分に裕福なら、貯金する必要はない。現状が裕福で満足できているのであれば、それ以上に貯金する必要はほとんどない。残念ながら、米国では、多くの人々が資産らしい資産を持っていないため、貯蓄があるのは人口の半数未満という問題が生じている。
10世帯に1世帯は、純資産がマイナスかゼロ
調査では、貯蓄の意図に関する質問に加え、資産についても質問している。この質問は、すっかり忘れかけていた銀行口座など、ほんの少額であっても、その存在をあぶり出すのが目的だ。そのうえで、各人の資産から負債を差し引き、各人の純資産を特定している。
1980年代から現在まで続く同調査の平均を取ると、米国では全世帯のうち、純資産が1ドル以上ある世帯は10%にとどまった。つまり、10世帯に1世帯は、純資産がマイナスかゼロということだ。最新の調査結果によれば、全世帯の半分は、貯蓄額が所得2年分に満たない。
純資産がごくわずかかゼロなうえに、貯蓄率も決して高くないことは、全国的な問題である。多くの人々は、老後の生活を国の退職給付制度に全面的に依存していることがわかる。
予期せぬ出費など、金銭面でちょっとしたショックがあると、家計は大混乱に陥りかねない。貯蓄が少なくなれば、いざというときに最低限の生活を保障する社会的セーフティーネットへの依存度が高まる。
シンプル、安全、手間なし…貯蓄意欲を高める「確実」な方法
資産が少ないかゼロ、あるいは負債を抱えている世帯が増えている事実を考慮すれば、政府としては国民に貯蓄を奨励する必要がある。
政治家や政府の政策担当者は、この必要性をはっきりと把握している。国としても、老後に備えて非課税で民間の積立預金などに回すよう、労働者に奨励するさまざまなプログラムを用意している。
例えば、米国では、退職後資金積立制度のIRA(個人退職勘定)、SEP(簡易従業員年金制度)、確定拠出年金(401k)など、まさにこの目的のために作られた専門プログラムが多数ある。また、米国には、529プラン(州政府が設立する高等教育資金積立制度)など、教育目的の特別な積立制度や、医療費のための特別な積立制度もある。
だが、貯蓄意欲を高めるのなら、プラスの金利を提示することが最も単純明快な方法である。貯蓄方法として、最も単純で、安全性が高く、手間もかからないのは、銀行に預けることである。
銀行口座に預金すれば、引き出すまでは増加する。子供でも理解できる簡単な話であるが、それは金利がプラスなら、という条件が付く。現金があれば、銀行の取り付け騒ぎのとばっちりを受けにくくなる。
ジェイ・L・ザゴースキー / 米ボストン大学大学院 特任准教授
ジェイ・L・ザゴースキー,斎藤 栄一郎
https://news.yahoo.co.jp/articles/81f20e0bc90516e212d061223266068e87332ca8?page=1
인생의 대부분을 노후 자금 마련에 힘썼음에도… 은행에 맡긴 자산이 ‘금융 정책’의 희생양이 되는 부조리. "관료의 난폭함"을 막는 강력한 무기 ‘현금’ / 2월 4일(수) / THE GOLD ONLINE (골드 온라인)
2026년 현재, 겨우 금리가 상승하기 시작했지만, 우리가 잊어서는 안 될 것은 과거 일본과 유럽에서 장기간 시행된 ‘마이너스 금리 정책’의 교훈이다. 실은 현금이 중앙은행의 극단적인 정책에 대한 제동 역할을 한다. 예금만 해도 마이너스 금리 상황에서 은행으로부터 자금을 인출해 현금으로 보관하는 것은 개인 자산을 감소로부터 보호하기 위한 유일한 방법이었다. 국민이 이 ‘현금화’라는 대안 수단을 가지고 있는 한, 중앙은행은 극단적인 마이너스 금리를 설정할 수 없다. 하지만 현재 진행 중인 현금 없는 결제와 현금 탈피 움직임은 이 출구를 완전히 차단하고, 국민 자산을 도피할 길 없는 디지털 관리 하에 두는 위험을 내포하고 있다. 앞으로 다시 찾아올 불황과 부당한 자산 감소로 인해, 우리 자신의 노후 자금을 어떻게 지켜야 할지에 대한 고민. 제이 L. 자고스키 씨의 저서 『The Power of Cash: 디지털 경제에서 급등하는 현금의 가치』(프레지던트사)에서 현금의 물리적 방어력을 밝힌다.
◇ 일본이 오랫동안 추진해 온 ‘마이너스 금리 정책’의 착취 구조
많은 고령자들은 은퇴할 때까지 인생의 대부분을 노후 자금 마련에 전념해 왔다. 이 저축을 원금으로 삼으면 조금이라도 이익을 얻을 수 있을 것으로 기대하고 있다.
하지만 전 세계 중앙은행들은 최근 제로 금리 정책을 추진하고 있다. 마이너스 금리는 유럽에서는 2014년부터 2022년까지, 일본에서는 오랫동안 적용되어 왔다.
마이너스 금리는 예금자에게서 자금을 빼앗는 것으로, 고령자를 비롯해 꾸준히 저축해 온 사람들에 대한 괴롭힘 외에 다른 것이 아니다. 현금은 이러한 정책에 제동을 걸 효과가 있어, 현금을 사용하면 고령자의 저축을 빼앗으려는 관료들을 막을 수 있다.
그냥 맡기기만 해도 줄어드는… 마이너스 금리의 폭주를 막는 ‘현금’
이 문제를 자세히 살펴보기 위해, 작은 비유를 사용하고 싶다. 결혼식 같은 대규모 이벤트를 위해 막대한 저축을 계속해 왔다고 가정해 보자. 마이너스 금리란, 중요한 날이 오기를 기다리는 동안 저축의 일부가 스스로 몰수되는 것과 같다.
아까운 저축을 마이너스 금리로 도둑맞지 않는 간단한 방법이 있다. 현금으로 저축하는 것이다. 현금이라면 마이너스 이자를 걱정할 필요도 없다. 이 전략은 금리가 플러스일 때는 좋지 않지만, 마이너스 금리라면 충분히 괜찮다.
현금의 존재는 중앙은행이 마이너스 금리 구역까지 급등하는 것을 억제할 뿐만 아니라, 국내 금융기관에서 인출 사태가 발생했을 때도 저축을 보호하는 역할을 한다.
은행의 인출 소동은 드물게 일어나는 일이지만, 대량의 예금자들이 몰려와 인출하면 파멸적인 상황에 빠진다. 실제로 2023년 미국에서는 실리콘밸리 은행, 패스트 퍼블릭 뱅크, 시그니처 은행 3개 은행이 모두 파산했다.
은행 예금이 아니라 현금으로 손에 보유하고 있으면, 대규모 은행 인출 사태가 임박한 상황에서도 안심할 수 있다※.
※ Rose(2023)
물론 현대 경제에서 은행은 중요한 존재이다. 여유 자금을 가진 사람들로부터 자금을 받아 필요로 하는 사람들에게 돌려줌으로써, 다시 말해 예금자의 자금을 차입자에게 돌려주어 경제 성장을 급격히 촉진하는 역할을 하는 것이 은행이다. 중앙은행은 금융 부문의 안정성 확보에 중요한 역할을 하고 있다.
은행은 현대 경제에서 매우 중요한 연결 고리 역할을 하지만, 은행도 중앙은행도 가끔 엄청난 실수를 저지르고, 경제 성장에 악영향을 미칠 뿐 아니라 세계 경제 상황을 뒤흔들기도 한다.
◇ 현금 사용을 탈피하는 것이 금리의 기본 원칙을 흔들어 놓는다
중앙은행은 세계 금융 시스템을 감시하는 역할도 맡고 있다. 중앙은행 중에서도 미국 연방준비제도(FRB), 유럽중앙은행(ECB), 일본은행은 세계에서 특히 유력한 기관이다. 중앙은행이 큰 힘을 가진 이유는 정치적으로 보호받는 소수의 구성원에게 금리 인상·인하 권한이 부여돼 있기 때문이다.
금리는 누구도 관심을 가질 것 같지 않은 지루한 전문 분야처럼 보이지만, 우리 생활에 큰 영향을 미친다. 기업이 사업을 확장하는 시점도 금리 상황에 달려 있다.
개인이라도 집이나 차 같은 큰 구매를 할지 말지, 언제쯤 은퇴할 여유가 생길지는 금리에 좌우된다. 정부가 대규모 공공사업 자금 조달이 현실적인지 판단할 때도 금리가 중요한 역할을 한다.
세계 각국의 경제는 수천 년 동안 단순한 원칙에 따라 운영되어 왔다. 우선, 저축과 지출 억제에는 그에 상응하는 보상을 받을 수 있다는 원칙이다. 두 번째는, 차입(현재 가지고 있지 않은 금액을 소비하는 것)은 그에 상응하는 대가를 동반한다는 원칙이다.
현금 탈피는 이 두 가지 기본 원칙을 뒤집을 가능성이 있다. 현금 의존을 탈피하면 중앙은행은 마이너스 금리를 적용하기 쉬워진다. 마이너스 금리는 절약을 중시하는 사람들에게 고통을 주고, 빚을 지는 사람들에게는 보상을 제공하게 된다.
금리는 ‘플러스’가 상식이었다
인류 역사의 대부분에서는 저축을 하면 그 자금이 손에 잡히지 않게 하는 대신 이자가 지급되었다. 예를 들어 금리가 5%인 조건으로 1만 달러를 예치하면, 1년 동안 손대지 않는 보상으로 원금 1만 달러에 5%인 500달러가 추가된다.
금리가 일정해지는 경우는 거의 없다. 거시경제 동향에 따라 오르기도 하고 내리기도 한다. 하지만 금리가 낮더라도 예금의 물꼬를 트는 역할을 하며, 적지만 추가 상승이 있는 것이 상식이었다.
금리 역사를 알기 위해서는 시드니 호머와 리처드 시라가 공동 집필한 『A History of INTEREST RATES』를 추천한다. 이 대책에 따르면, 고대부터 현대까지 세계 금리의 변천을 정성스럽게 그리고 있다. 다양한 도표가 실려 있지만, 고대 로마부터 현대 아르헨티나까지 플러스 금리를 표시하고 있다※. 이 때문에 마이너스 금리 시행을 암시했을 뿐인데도 큰 뉴스가 될 수 있었던 시대였다.
※ Homer and Sylla(2005)
◇ 검토만 해도 시장 격진… 홍콩의 ‘마이너스 금리 계획’ 괴동
그 마이너스 금리에 가장 먼저 손을 대려는 움직임이 1987년 12월 홍콩에서 목격되었다. 그 몇 년 전인 1983년, 홍콩 당국은 홍콩 달러와 미국 달러를 1달러 = 7.75홍콩 달러로 고정 환율을 설정했다. 1987년 11월에는 많은 투자자들이 이 고정 환율제가 붕괴될 것이라고 확신하게 되었다.
그 결과 외국인 투자자들이 홍콩 달러 매수에 나서 현지 은행에 자금을 모으기 시작하면서 홍콩 달러 절상 가능성이 높아졌다. 외국으로부터의 자금 유입을 차단하기 위해 홍콩 당국은 현지 은행의 모든 대규모 예금을 대상으로 마이너스 금리 적용을 계획하고 있다고 발표했다.
계획에 따르면 최소 130만 달러의 예금에 대해 마이너스 5.5%, 2,500만 달러 이상 예금에 대해서는 최대 마이너스 88%의 마이너스 금리가 적용된다고 했다.
마이너스 금리 계획을 발표했을 뿐인데, 외국인 투자자들은 홍콩 달러 매수에서 매도로 전환했고, 홍콩 은행으로부터 자금을 회수하게 되었다. 그 결과 홍콩 달러를 올릴 필요가 없어졌고, 마이너스 금리도 시행되지 않았다.
그럼에도 불구하고 마이너스 금리를 검토 중이라는 사실만으로도 당시 큰 충격을 받았다.
◇ 리먼 쇼크가 ‘마이너스 금리’ 전환점으로
2008년, 이른바 리먼 쇼크로 세계 경제는 심각한 침체 상태에 빠졌다. 이러한 경기 침체에 대응하기 위해 많은 국가의 중앙은행이 금리 인하에 나섰다.
2008년이 되기 전까지는 투기 세력의 홍콩 달러 공격 등 불안한 움직임은 제외하고, 현실적으로는 제로 금리가 최소 기준이라고 여겨졌다. 이는 금리를 더 이상 낮출 수 없다는 의미에서 ‘제로 금리 제약’이라고 불렸다.
하지만 경기 침체가 장기화되는 가운데, 각국 중앙은행은 이 제약을 깨고 금리를 제로 이하로 낮췄다.
특히 중요한 금리 중 하나는 EU 회원국 각 은행이 유럽중앙은행(ECB)에 오버나이트(다음 날 상환)로 예치하는 자금에 대해 ECB가 지급하는 금리였다.
경기 침체에 진입한 2008년 10월 시점에서는 이 금리가 3%를 넘어섰다. 하지만 2012년부터 2013년에 걸쳐 ECB는 이를 제로로 억제했다. 게다가 2014년부터 2022년까지는 마이너스 금리였던 것이다.
마이너스 금리란, 저축을 하면 고통을 겪게 된다는 뜻이다. 예를 들어 ECB는 2019년 10월부터 2022년 6월까지 마이너스 0.5% 금리를 적용했다. 이는 1만 달러를 1년 동안 맡겨두면 누군가가 무단으로 50달러를 가져가는 것을 의미한다.
마이너스 금리는 다른 국가에서도 적용되었다. 일본은행은 2024년 겨울까지 8년 동안 ‘일본은행 당좌예금에 정책금리 잔액에 마이너스 0.1%의 마이너스 금리를 적용한다’는 방침을 여러 차례 발표하며 마이너스 금리를 유지했습니다※.
※ Bank of Japan(2024)
◇ 단기적인 마이너스 금리 정책은 타당하지만…
마이너스 금리가 되면 저축 의욕이 사라진다. 다시 말해, 절약에 세금을 부과하는 것과 같다. 그런 과세에 사람들은 불만을 품고, 여유 자금이 있으면 즉시 소비로 돌리게 된다. 오래 보유하면 가치가 떨어지기 때문이다.
마이너스 금리가 되면 소비가 자극받고 경제 활동이 활발해지기 때문에, 경기 침체기에 마이너스 금리를 도입하는 중앙은행이 늘어난 것이다.
개인 소비와 투자 확대로 경기 회복을 촉진한다는 생각은 일시적이거나 단기적인 대책으로는 타당하다. 생각해 보면 엔진이 걸리지 않는 가솔린 차를 시동 걸 때와 비슷하다. 차가 쉽게 시동이 걸리지 않을 때, 엔진에 약간 더 많은 연료를 분사하면 시동이 잘 걸릴 때가 있다. 다만 연료를 과다하게 분사하면 엔진이 막혀 다른 문제가 발생할 수 있다.
중앙은행이 거의 제로에 가까운 마이너스 금리를 장기간 유지하고 있는 상황은, 이렇게 자동차에 비유하면 이해하기 쉽다. ECB는 제로 금리와 마이너스 금리를 합쳐 10년 동안 시행했으며, 2022년 말에 비로소 제로 금리를 벗어났다.
장기간 금리가 억제되면 사람들의 습관이 변해 저축보다 지출을 선호하게 된다.
◇ 현금이 마이너스 금리의 ‘브레이크 역할’을 한다
은행, 특히 중앙은행은 현금을 싫어한다. 현금은 마이너스 금리를 적용할 능력을 약화시키기 때문이다. 가령 지금 중앙은행이 금리를 마이너스 5%로 낮출 수 있는 힘이 있다고 가정해 보자. 우리가 1만 달러를 1년 동안 맡기면, 500달러를 받는 셈이다. 1년 후에는 9,500달러로 감소하게 된다.
하지만 은행에서 자금을 인출해 옷장 저축으로 바꾸면, 1년 후에도 원래 1만 달러를 유지할 수 있다. 늘어나는 것은 아니지만, 줄어들지도 않는다.
개인도 기업도 마이너스 금리 환경이라면 예치한 자금을 인출해 현금으로 바꿀 수 있지만, 대부분은 그렇게 하지 않는다. 자금을 인출하지 않는 이유는 소액을 인출해 현금화한 뒤, 필요에 따라 다시 은행 시스템으로 되돌리는 것이 번거롭기 때문이다.
소액에서 중간 정도의 현금이라도 손에 보관할 경우 그에 상응하는 비용이 든다. 금고를 구입하거나, 금고를 빌려야 한다. 서랍이나 침대 매트리스 안에 숨기는 식의 옷장 저축이라면 보관 비용은 들지 않지만, 도난당할 수도 있고, 실수로 오래된 매트리스를 버릴 수도 있다.
많은 현금을 보관하려면 비용이 더 많이 든다. 거대한 금액을 다루는 투자자라면, 플러스 금리로 바뀔 때까지 현금을 인출하거나 매트리스에 보관할 수도 없고, 정원에 구멍을 파서 묻는 것도 현실적이지 않다. 금고실을 건설해 많은 현금을 보관한다 하더라도, 금고실의 경비·보호에 경비원을 고용한다면 상당한 비용이 든다.
그래서 개인이나 기업은 어쩔 수 없이 마이너스 금리를 견디려는 것이다. 다만, 금리 인하가 지속될 경우 은행 이탈과 현금화가 진행될 가능성이 높다.
그래서 중앙은행이 저금리 정책 추진에 제동을 걸거나 저지하는 역할을 맡는 것이 현금이다. 현금 사용이 편리해지고 은행 시스템에서 입출금이 쉬워지면, 제로 금리 제한이 유지될 가능성도 높아진다. 반대로 현금을 끊게 되면 이 억제력이 사라져 중앙은행은 마이너스 금리를 마음껏 적용할 수 있게 된다※.
※ 중앙은행은 현금의 브레이크 효과를 없애는 방안 중 하나로 자체 디지털 통화 발행에 관심을 가지고 있다(Ozili 2023).
그렇다면 중앙은행에는 어느 정도의 권한을 부여해야 하는가. 마이너스 금리가 되면 중앙은행이 경제를 통제할 권한이 더욱 커진다. 현금이 확실히 지속적으로 존재한다면, 중앙은행이 통제할 수 있는 힘은 점점 작아지지만, 개인과 기업의 힘은 커진다. 어디에서 타협점을 잡을지는 절대적인 정답이 없다.
마이너스 금리는 저축 의욕을 꺾는 것이므로 경기 침체를 타개할 특효약이라고는 할 수 없다. 마이너스 금리는 경기 침체라는 문제를 해결하기 위한 조치이지만, 이번에는 저축 감소라는 또 다른 문제가 발생한다.
◇ 인구의 절반이 저축 제로… 조사 결과가 보여주는 미국 가계의 취약성
미국에서 저축하지 않는 사람은 얼마나 될까? 연방준비제도(FRB)가 미국 전역에서 무작위로 추출한 가구를 대상으로 3년마다 실시하는 소비자 금융 조사라는 조사가 있다. 저축 습관과 의도를 탐구하는 것이 목적이다.
응답자들에게는 ‘저축 없음’, ‘월말에 잉여금이 있으면 저축한다’, ‘정기적으로 저축한다’ 중 하나를 선택하도록 했다. 2000년 이후 ‘정기적으로 저축한다’를 선택한 가구는 전체 가구의 절반에도 미치지 못하는 상황이다.
이 답변은 순전히 저축을 위한 의도일 뿐이며, 답변과 실제 상황이 반드시 일치하는 것은 아니기 때문에, 동조사에서는 추후 응답자를 대상으로 추적 조사를 실시하고 있다. 지난 1년간 가구 지출액에 대해 ‘소득을 초과했다’, ‘소득을 초과하지 않았다’, ‘소득과 동일했다’라는 세 가지 선택지로 질문했다.
초기 의도에 관한 응답 결과와 마찬가지로, 지난 1년간 저축을 했다는 답변은 전체 가구의 절반 이하였다.
충분히 부유하다면 저축할 필요는 없다. 현재 상황이 풍요롭고 만족스러우면, 그보다 더 저축할 필요는 거의 없다. 안타깝게도 미국에서는 많은 사람들이 실질적인 자산을 가지고 있지 않아, 저축이 있는 비율이 인구의 절반도 안 된다는 문제가 발생하고 있다.
10가구 중 1가구는 순자산이 마이너스이거나 제로
조사에서는 저축 의도에 관한 질문 외에도 자산에 대해서도 질문하고 있다. 이 질문은 거의 잊고 있던 은행 계좌 등, 비록 소액이라도 그 존재를 밝혀내는 것이 목적이다. 그 위에 각 개인의 자산에서 부채를 차감하고, 각 개인의 순자산을 특정하고 있다.
1980년대부터 현재까지 이어진 같은 조사 평균을 보면, 미국에서는 전체 가구 중 순자산이 1달러 이상인 가구가 10%에 불과했다. 즉, 10가구 중 1가구는 순자산이 마이너스이거나 제로라는 뜻이다. 최신 조사 결과에 따르면 전체 가구의 절반은 저축액이 소득 2년분에 미치지 못한다.
순자산이 아주 적고 제로에다, 저축률도 결코 높지 않은 것은 전국적인 문제이다. 많은 사람들이 노후 생활을 국가의 퇴직급여 제도에 전적으로 의존하고 있다는 점이 드러난다.
예기치 않은 지출 등 금전적인 충격이 조금만 있어도 가계가 크게 혼란에 빠질 수 있다. 저축이 줄어들면, 위급 상황에 최소한의 생활을 보장하는 사회적 안전망에 대한 의존도가 높아진다.
◇ 간단, 안전, 번거롭지 않게…저축 의욕을 높이는 ‘확실한’ 방법
자산이 적거나 제로, 혹은 부채를 안고 있는 가구가 늘어나고 있다는 사실을 고려하면, 정부는 국민에게 저축을 장려할 필요가 있다.
정치인과 정부 정책 담당자들은 이 필요성을 명확히 파악하고 있다. 국가 차원에서도 노후 대비를 위해 비과세로 민간 적립예금 등에 활용하도록 근로자에게 장려하는 다양한 프로그램을 마련하고 있다.
예를 들어 미국에서는 퇴직 후 자금 적립 제도인 IRA(개인 퇴직 계정), SEP(간이 직원 연금 제도), 확정 기여 연금(401k) 등, 바로 이 목적을 위해 만든 전문 프로그램이 다수 존재한다. 또한 미국에는 529 플랜(주 정부가 설립한 고등교육 자금 적립 제도) 등 교육 목적의 특별 적립 제도와 의료비를 위한 특별 적립 제도도 있다.
하지만 저축 의욕을 높이고 싶다면, 플러스 금리를 제시하는 것이 가장 간단명료한 방법이다. 저축 방법 중 가장 단순하고 안전성이 높으며 번거롭지 않은 것은 은행에 예금하는 것이다.
은행 계좌에 예금하면 인출될 때까지 증가한다. 어린이도 이해할 수 있는 쉬운 이야기이지만, 그 조건에 금리가 플러스라면이라는 조건이 붙는다. 현금이 있으면 은행의 부과 사태에 휘말릴 가능성이 줄어든다.
제이 L. 자고스키 / 미국 보스턴 대학교 대학원 특임 준교수
제이 L. 자고스키, 사이토 에이치로
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