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毎日新聞2024/11/12 東京朝刊有料記事820文字
首相指名選挙の決選投票を行う石破茂首相(左)=11日、平田明浩撮影
なるほドリ 「ハングパーラメント」って言葉を最近聞くけど、どういう意味?
記者 国会でどの勢力も過半数(かはんすう)の議席(ぎせき)を獲得(かくとく)できない状態を指します。日本語に訳すと「中(ちゅう)ぶらりんの議会」「宙(ちゅう)づり議会」を意味します。議席数の多い第1党を中心に「少数与党」で政権を運営するか、他党と連立政権(れんりつせいけん)を組むことになり、不安定になることが多いです。
Q 日本もハングパーラメントになったの?
A 10月27日の衆院選で石破茂(いしばしげる)首相が率いる自民党が敗北し、過半数の233議席を下回る191議席にとどまりました。連立を組む公明党の24議席を合わせても計215議席で過半数に届きませんでした。一方、最大野党の立憲民主党が50議席増の148議席と躍進するなどし、本格的なハングパーラメントが出現しました。1993年の衆院選で自民党が過半数割れして以来、31年ぶりの事態です。
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Q 海外でも例はあるのかな?
A 英国では戦後3回、ハングパーラメントを経験しました。最近では2017年の総選挙(下院(かいん))で第1党の保守党が過半数を割り込み、北アイルランドの地域政党・民主統一党の閣外協力(かくがいきょうりょく)を得て政権を維持しました。10年の総選挙では、第1党となった保守党が第3党の自由民主党と戦後初の連立政権を発足。オーストラリアも10年の総選挙で与野党がいずれも過半数に届かないハングパーラメントになりました。
Q 石破さんは今後どうなるの?
A 特別国会での衆院の首相指名選挙では、1回目の投票で過半数を得た議員がおらず、上位2人の決選投票で石破氏が立憲の野田佳彦(のだよしひこ)氏を上回り、首相に指名されました。石破首相は、政策ごとに国民民主党など野党の一部から協力を取り付ける「部分連合(ぶぶんれんごう)」で法案を成立させるなどして政権維持を図るとみられます。(政治部)