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毎日新聞2025/12/27 11:00(最終更新 12/27 11:00)有料記事1529文字
今年の漢字「熊」を揮毫(きごう)する清水寺の森清範貫主=京都市東山区の清水寺で12日午後2時8分、小関勉撮影
世相を表す今年の漢字に「熊」が選ばれた2025年は、自然界の異変を感じる場面が多かった。気候変動やプラスチックごみ問題など、地球規模で取り組まなければならない課題も積み上がっていくばかりだ。この1年の環境問題のニュースを振り返る。
山や森どう守るか
クマの出没は、北日本を中心に連日のように騒動となった。環境省によると、4~11月の人的被害は230人(速報値)と、過去最多だった23年度を上回った。餌となるドングリなどの堅果類が大凶作だったことに加え、中山間地の過疎高齢化に伴うハンター減少や里山荒廃などの構造的な背景も指摘される。
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緊急銃猟の委託を証する腕章をつけ、訓練を行う猟友会のハンターたち=北海道江別市内で、和田幸栞撮影
9月には自治体判断で市街地での銃猟を可能とする「緊急銃猟制度」が始まった。しかし、銃猟を担うハンター不足は深刻で、猟友会などの民間任せでは限界があることは明らかだ。
一方、山や森、草地などをいかに守り、利用するかという点でクマ問題とも共通するのが、メガソーラー問題だ。
手つかずの自然が残る釧路湿原。周辺ではソーラーパネル禍が深刻化している=2021年6月10日午後、本社機「希望」から
北海道・釧路湿原周辺などで注目が集まった。太陽光発電は脱炭素社会の切り札となる再生可能エネルギーの一つ。だが、生態系や景観に無配慮な開発行為が数多く明るみに出て、国や自治体に規制強化を求める声が高まった。
トランプショック
夏の暑さは記録的だった。8月5日、群馬県伊勢崎市で国内史上最高の41・8度を観測。同日は過去最多となる14地点で40度以上となった。総務省消防庁によると、5~9月に熱中症で救急搬送された患者は過去最多の10万510人。5月に研究者有志が設立した団体「極端気象アトリビューションセンター」は、7月下旬の猛暑について「温暖化の影響がなければ発生し得ないレベル」と分析した。
41度を表示する伊勢崎駅前の温度計=群馬県伊勢崎市で2025年8月5日午後3時24分、渡部直樹撮影
この異常な暑さが近い将来、「日常」になりかねないのが温暖化の恐ろしいところだ。1月10日、世界気象機関(WMO)は24年の世界の平均気温が産業革命前より1・55度上昇し、パリ協定が目標とする「1・5度上昇」を単年で初めて超えたと発表した。気候変動対策は待ったなしだ。
ところが……。
「バイデン政権の急進的な気候変動政策を終わらせる」。同20日、米大統領に返り咲いたトランプ氏は就任早々、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱を指示する大統領令に署名した。「掘って、掘って、掘りまくる」と化石燃料回帰を公約に掲げたトランプ氏の離脱表明は想定されたこととはいえ国際社会の失望を招いた。
2025年の環境分野のできごと
トランプ氏は9月の国連総会でも、気候変動対策を「史上最大の詐欺」と呼び、国際協調に背を向けた。11月にブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に、米国は1人の政府代表団も派遣しなかった。
国際協調に逆風
COP30では、化石燃料からの脱却に向けた行程表を作るかどうかが争点となった。議長国ブラジルが提案し80を超える国が賛同したが、サウジアラビアなど産油国の反対で見送られた。来年11月にトルコで開かれるCOP31でも議論の的になりそうだ。
プラスチック汚染根絶に向けた条約を話し合う政府間交渉委員会の会場外に設置されたモニュメント。プラ汚染の影響の大きさを表現している=スイス・ジュネーブで2025年8月10日、高橋由衣撮影
産油国の反対による合意断念といえば、8月にジュネーブであったプラスチック汚染根絶を目指す条約作りに向けた政府間交渉委員会もそうだった。
石油を原料とするプラスチックの素材「ポリマー」の生産規制に踏み込むかどうかで、賛成派の欧州連合(EU)や島しょ国と、反対派のサウジ、イラン、ロシアなどの産油国が対立。議長は産油国側に大幅に譲歩した条約案を示したが、折り合うことはできなかった。
来年2月に新しい議長を選出する会議が開かれる予定だが、「24年末までに法的拘束力のある国際条約を作る」と決議した約束の期限はとうに過ぎ、深刻化するプラ汚染への対策の遅れが懸念される。【阿部周一】