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毎日新聞2026/7/6 12:19(最終更新 7/6 12:19)有料記事770文字
東京大学の赤門=東京都文京区で2025年10月15日撮影
神経細胞内の生理機能「オートファジー(自食作用)」を調節することで、失った脳機能を回復できることをマウスを使った実験で確認したと、東京大などのチームが米科学誌サイエンスで発表した。筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患では、一度失った脳機能は回復しないとされてきたが、元に戻す技術につながると期待される。
2016年のノーベル生理学・医学賞のテーマとなったオートファジーは、細胞を新陳代謝する生命維持の根源的な機能だ。細胞内のたんぱく質を分解したり、異常なたんぱく質を壊したりする。神経変性疾患は、異常なたんぱく質が神経細胞内に蓄積して発症するが、異常たんぱく質を除去することで機能が回復するのかは分かっていなかった。
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チームは薬剤によってオートファジーを自在にコントロールできるマウスを開発。4週間にわたり抑制すると、異常なたんぱく質が神経細胞内に蓄積し、神経変性疾患のように運動能力や記憶、学習能力の低下が確認された。
その後、オートファジーを再開して4週間経過すると、異常なたんぱく質が減り、運動や認知機能が回復した。チームは「神経細胞は従来考えられていた以上に高い回復力を持つ可能性が示唆される」とする。
神経変性疾患はALSだけでなく、アルツハイマー病などタウと呼ばれる異常たんぱく質に関連する病気や、パーキンソン病など多岐にわたる。発症すると進行を緩やかにする治療しかなく、回復させられる手段はなかった。発症にはオートファジーが関与している可能性を指摘する報告もある。
チームの水島昇・東大教授(細胞生物学)は「症状が出てから回復させる治療法につながる可能性がある。老化マウスや病気を再現したマウスでも回復が見られるか確認し、さらにヒトのオートファジーの活動を高める薬剤の選定に取り組んでいきたい」と話した。【渡辺諒】