|
|
毎日新聞2026/9/14 11:54(最終更新 9/14 11:54)有料記事1105文字
米アンソロピックのロゴ=ロイター
「クロード・ミュトス」など最先端の人工知能(AI)開発を手がける米アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は12日、業界全体で「AIの開発ペースを緩めなければならない」と呼びかけた。AI技術の急速な進歩が世界に危険を及ぼす可能性を高めているとの危機感を主要企業自ら示したもので、他の大手米AI企業トップからも賛同する声が相次いだ。
AI開発に対する規制議論が進む可能性があるが、中国はこの分野で米国と激しく競争しており、国際協調態勢を取ることができるかは見通せない。
Advertisement
米アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)=ニューデリーで2026年2月19日、ロイター
アモデイ氏はウェブサイト上で自身の考えを表明した。AIが大幅な経済成長を含む多くの恩恵を人類にもたらす一方、今夏ごろからAIの進歩が加速しており、放置した場合「6~12カ月後にはインターネット全体を乗っ取る能力を獲得する」ほか、人類の能力を上回る事態を招く恐れがあると指摘。各社や米国を中心とする業界内、全世界と3段階で安全対策を設ける枠組みの必要性を訴えた。
米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)=米南部ノースカロライナ州で2026年9月2日、ロイター
アンソロピックは6月にも、急速に進化するAIに対し、開発の一時停止や国際的規制の必要性を訴えていたが、業界の支持はそれほど広がらなかった。ただ、7月に入ると最先端AIが人間の指示なくサイバー攻撃をし、「暴走」する事態が相次いで表面化。アモデイ氏の主張に対し、米オープンAIのサム・アルトマンCEOは「ここ数週間、我々が社内で議論してきた主要なトピックの一つだ」と賛同した。
米スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)=パリで2023年6月16日、ロイター
AI投資を手がける米スペースXのイーロン・マスクCEOも「ダリオ氏は正しい」と同意する姿勢を示した。ノーベル化学賞受賞者で、グーグル傘下ディープマインド前CEO、現会長のデミス・ハサビス氏は「この重大な局面に対処するには正しい方向性だ」と指摘した。
アモデイ氏が示した3段階の枠組みでは、第1段階として、各AI企業が安全性を評価する外部機関に従業員と同等のアクセス権を付与する。次に民主主義国家の最先端AI企業が連携し、共通の安全基準を設定。抜け穴を防ぐため、米政府が米国の全ての最先端AI開発企業を対象とした規制を設けることが効果的な方法だとした。
さらにアモデイ氏は「AI分野における中国のリードが米国や世界に重大な危険をもたらす」と指摘し、最終段階として中国などとの「国際的な連携」が不可欠とした。米国が優位に立った状態で開発ペースを落とすためには、高性能AIチップと半導体製造装置の中国への販売禁止▽チップ密輸やデータセンターへの遠隔アクセスの厳格な取り締まり▽既存の高性能AIを基に新たなモデルを生み出す「蒸留」の取り締まり――などの措置が必要だと訴えた。【ワシントン浅川大樹】