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毎日新聞2025/1/30 東京朝刊有料記事839文字
「下請け」という用語の言い換えについて提言する有識者会議の報告書=渡辺暢撮影
なるほドリ 「下請(したう)け」という用語がなくなるんだって?
記者 下請け法の改正を議論してきた国の有識者会議が2024年12月に報告書を公表し、法律名を含(ふく)めて「下請け」という用語を改めるよう提言しました。企業(きぎょう)同士が「対等な関係でないような語感がある」というのが主な理由です。社会に定着する半面、「協力会社」や「パートナー企業」といった言(い)い換(か)えも一般(いっぱん)化しています。時代の変化に合わせるとともに、より一層の意識改革を促(うなが)す狙(ねら)いがあります。
Q そもそも「下請け」という用語はいつから使われるようになったの?
A 語源は江戸(えど)期にさかのぼるとの説もありますが、下請け法が制定されたのは高度成長期の1956年です。正式名称(せいしきめいしょう)は「下請け代金支払(しはらい)遅延(ちえん)等防止法」。仕事を受注する側の中小(ちゅうしょう)企業などを「下請け事業者」、発注側を「親事業者」とする呼称(こしょう)が明文化されました。
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Q 変えようとするのは今回が初めて?
A 過去の法改正時にも検討されたことはあります。ただ、他の法令との整合性などから「難しい」と見送られたようです。金型業者の業界団体「日本金型工業会」は03年に国会へ要望して以来、改称(かいしょう)を「悲願」としてきた経緯(けいい)があり、中里栄専務理事は「さまざまな押(お)しつけを受けてきた我々(われわれ)にとっては国民の意識を変えることが大事。やっと一歩目を踏(ふ)み出(だ)した」と今回の法改正に感慨(かんがい)深げです。
Q どう変わるのか楽しみだね。
A 改正法案は開会中の通常国会への提出が見込(みこ)まれています。下請け事業者という呼称を「中小受託(じゅたく)事業者」に、親事業者を「委託(いたく)事業者」に改める方向となっていて、新たな法律名についても検討が進められています。公正な取引が広がればよいですね。(社会部東京グループ)