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毎日新聞2025/2/12 東京朝刊有料記事755文字
「ヴァレンタインの愛の贈物」という言葉とチョコレートの写真が掲載された1932年のカタログ=モロゾフ提供
なるほドリ デパートにチョコレートの特設売り場ができていたよ。14日はバレンタインデーだね。日本ではいつごろ始まったんだろう。
記者 広く知られるようになったのは1960(昭和35)年に森永製菓(もりながせいか)(東京都港区)が新聞広告などでキャンペーンを展開してからだそうです。商品のラベルを送ると高額景品が当たる懸賞(けんしょう)は大反響だったとか。ただ同社は「初めて紹介したのではありません」と話しています。
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Q というと、他に発案者がいたんだね?
A フランスの知人に聞いた習慣を参考に日本で初展開したのはメリーチョコレートカムパニー(同大田区)です。58年2月に3日間、新宿・伊勢丹でフェアを開催しました。発案者で後に社長を務めた原邦生(はらくにお)さんによると、売れたのは50円の板チョコ3枚と20円のメッセージカード1枚だけだったそうです。翌59年にはハート形のチョコを作り、「女性から男性への愛の告白」として売り出しました。同社は2013年に日本記念日協会から記念日文化功労賞を受けています。
Q じゃあ、それが最初?
A そう簡単ではありません。モロゾフ(神戸市)が創業翌年の32年に発行したカタログに、「ヴァレンタインの愛の贈物」という言葉とハート形容器に入れたチョコの写真が掲載されていたことが2008年に分かりました。1935年には外国人向け英字新聞に広告も出しており、同社は「バレンタインデーにチョコを贈る文化を初めて紹介したのは当社」と話しています。
Q 捉え方によって違うんだね。
A 昭和では「女性から男性へ」が一般的でしたが、近年は自分や友人向けも普通になり、最近は好きなアイドルなどにささげる「推しチョコ」がトレンドだとか。楽しみ方も多様化しています。(くらし科学環境部)