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毎日新聞2025/2/20 東京朝刊有料記事788文字
一般的な小惑星のイメージ=欧州宇宙機関提供
なるほドリ 小惑星(しょうわくせい)が地球にぶつかるかもしれないんだって?
記者 2024年12月に発見された、直径40~90メートルとみられる小惑星「2024 YR4」ですね。欧州宇宙機関(おうしゅううちゅうきかん)(ESA)によると今月18日現在、32年12月22日に地球に衝突する可能性が2・8%あります。ただまだ誤差が大きく、心配する必要はありません。地球に近づく小天体は予想される軌道(きどう)の精度が高まれば、衝突する可能性がある領域から地球が外れ、一気に0%になるケースが大多数です。
Q もし衝突したらどんな被害になるかな?
A 1908年に現在のロシアで推定直径50~60メートルの隕石(いんせき)が落ちた「ツングースカ大爆発」では、東京都の面積ほどの約2000平方キロで樹木がなぎ倒されました。目安として小天体のおおよそ20倍の直径のクレーターが地上にできるともいいます。「2024 YR4」も万が一、都市に落ちれば大災害となりますが、現在のところ日本はコースから外れています。
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Q 衝突を防ぐ方法は無いの?
A 米航空宇宙局(NASA)は22年、直径約160メートルの小惑星に探査機を高速でぶつけ、軌道の変更に成功しました。惑星防衛に取り組む宇宙航空研究開発機構(JAXA)の吉川真・プラネタリーディフェンスチーム長は「直径300メートル以下ぐらいで、かつ地球衝突まで10~20年の余裕(よゆう)があれば、探査機で軌道をわずかにずらして防ぐことはできる」と指摘します。
Q 日本も何か実験を計画しているの?
A 小惑星の試料を持ち帰った探査機「はやぶさ2」は本体がまだ航行中で、26年7月に別の小惑星のぎりぎりまで接近、通過する運用に挑(いど)みます。吉川さんは「成功すれば、日本も軌道変更に資する技術が得られる」と意義を話します。(くらし科学環境部)