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毎日新聞2025/3/17 東京朝刊有料記事781文字
なるほドリ 6月から刑罰(けいばつ)が新しくなるんだって?
記者 「拘禁刑(こうきんけい)」ですね。現在、自由を奪(うば)う刑罰として「懲役(ちょうえき)」と「禁錮(きんこ)」がありますが、これを一つにまとめて拘禁刑にします。懲役は物品の生産や職業訓練が義務づけられているのに対し、禁錮はそうした義務がありません。一方、拘禁刑は「受刑者(じゅけいしゃ)の改善更生(こうせい)を図るために必要な作業をさせ、指導を行う」と定められていて、受刑中に何をしてもらうかが柔軟(じゅうなん)に判断できるようになります。
Q 懲役と禁錮は6月からなくなるんだね?
A いいえ、なくなりません。拘禁刑は6月1日以降に起きた事件や事故で有罪になった被告(ひこく)に適用されます。この日より前に起きた犯罪では引き続き懲役や禁錮が科されます。ただ、刑務所の中では、懲役、禁錮の受刑者も拘禁刑の受刑者に近い待遇(たいぐう)にしていくようです。
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Q なぜ拘禁刑ができたの?
A これまでの刑罰は、受刑者を「懲(こ)らしめる」という意味合いがありました。しかし、刑務所を出て再び犯罪に手を染めてしまっては元も子もありません。そこで刑務所での生活を経て立ち直ってもらえるよう刑罰を見直すことにしたのです。拘禁刑の下では、受刑者それぞれの資質や事情、健康状態に応じて、社会に復帰後の生活で必要になる知識や生活態度を手厚く教えていくことになります。
Q 事件や事故は減っていくのかな?
A 簡単ではないでしょう。拘禁刑下では、受刑者を24種類のグループに分けて立ち直りに向けたプログラムを受けてもらうことにしています。受刑者が意欲的にプログラムを受けてくれるか。社会に戻(もど)ってから自立した生活ができるようになるか。刑務所側の手腕(しゅわん)が問われることになります。(社会部東京グループ)