受難の源流
第1章 - 梨花女子大学校教授の免職事件
6. 学内に広がり始めた統一教会のうわさ
梁允永講師に続いて、梨花女子大学校で統一教会に入信したのは、韓忠ファ助教授である。一九五三年七月から梨花女子大学校に赴任した韓忠ファ女史は、英文科の助教授であり同大学の舎監(一九五三年九月―五四年九月)でもあった。
一九五四年十月から、統一教会の教えを学び始めた韓忠ファ助教授は、自分の英語の講義の時間に“奇妙な教理を話している”といううわさが学内に広まった。また、寄宿舎の早朝祈祷会でろうそくをともしながら、次のような内容の祈りをささげていたという。
「総長を救ってください。総長は全世界に知られた指導者です。総長が地獄に落ちるのを見るのは、本当に苦しいことです」
後に、韓忠ファ助教授は統一教会から以前、信仰していた長老派に改宗し、一九六八年ごろ死去したといわれるが、寄宿生に与えた影響は大きく、多くの学生が統一教会の門をたたく要因となった。
韓忠ファ助教授に続いて梨花女子大学校で統一教会に入信したのは、崔元福教授(一九一六― )である。同教授は英文学を教えるとともに学生課長であった。崔元福教授が入信したのが、一九五四年十二月十四日である。それでは、崔元福教授はどのようにして統一教会を訪ねてくることになったかを見てみよう。
崔元福教授は学生時代、メソジスト系の学校に通い洗礼を受けた。しかし、教会に通うものの熱心な信者ではなかった。信仰問題を真剣に考え始めたのは、梨花女子大学校で教鞭を執り始めてからである。学生を指導する立場にあった崔元福教授は、チャペルの壇上で学生たちに説教をするため、一生懸命に聖書を学んだ。
聖書を真剣に読めば読むほど疑問にぶつかった。聖書の内容があまりにも非論理的で、非現実的だったからである。その疑問を解くために、熱心に神様に祈ったが答えは返ってこなかった。
崔元福教授は聖書の限界を感じているとき、韓忠ファ助教授に誘われて統一教会を訪ねたのである。統一教会の理念を学んだ崔元福教授は、理路整然とした内容に驚いた。
講義を聴きながら、誇りと喜びが込み上げてきた。そこにいる人たちを見ると、希望と固い信念を持っているように見えた。崔元福教授は、そこにいた人の中にすでに天国ができ上がっているように思えたのである。
崔元福教授は、初めて出会った文師のことを次のように述べている。
「文先生に初めてお会いしたとき、どこかでお会いしたことのあるような親しさを感じました。十年前からの知り合いのような思いでした。また、私に一番近い人、私が最も尊敬する人、私を最も愛してくれる人、すなわち、私の父親のような印象でした」
このころ、“優秀な学生たちが、異端の教会に通い始めている”という、うわさが学内に広がり始めた。
ある日、梨花女子大学校の金活蘭総長は、学生課長の崔元福教授を呼んでこう語っている。
「多くの学生たちが異端の教会に行っているようです。学生課長のあなたが、その教会に行って話を聞いて、学生たちがもう行かないように言い聞かせてください」
崔元福教授は、総長に次のように答えた。
「総長、私はすでにその教会に行って話を聞いてきました。その教会は異端どころか、数段も次元の高い宗教でした。総長が心から学生たちを愛されるならば、一度その教会に行って教えを聞いてみてください」
「私は聞かなくても、およそどんな話か分かります」
総長はこう言って、崔元福教授を部屋から追い払った。
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