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毎日新聞2025/9/9 東京朝刊有料記事627文字
カースティ・コベントリーさん=共同
カースティ・コベントリーさん(41)
6月、国際オリンピック委員会(IOC)の130年以上の歴史で初めての女性リーダーとなった。
ジンバブエ生まれで、初のアフリカ出身のトップでもある競泳の五輪金メダリストは、「みんながいるから、私がいる」という意味のアフリカの概念「ウブントゥ」を大切にする。
「全員が参加し、考えを共有することが重要になる」と協調路線で進む考えを持つ。
2歳で泳ぎ始めた少女の五輪との出合いは1992年バルセロナ大会だ。高台の屋外プールで行われた水泳の飛び込みをテレビで見て「とても絵になる場所だった」と心を奪われた。スポーツの祭典を夢見て、IOCの奨学金を得て留学した米オーバーン大で急成長。背泳ぎと個人メドレーで計7個の五輪メダルを獲得するスターとなった。
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2013年に委員となったIOCではトーマス・バッハ前会長に重用された。会長選では女性委員を中心に支持を集めて圧勝。かつて、政情不安に陥っていた母国が自身の金メダルに沸き「数日間、平穏が戻った」ことがあった。その体験から「スポーツの力」を高めたいとトップを志した。
スイス・ローザンヌのIOC本部では食堂でスタッフと食事し、豪快な笑い声を響かせる。職員からは「本当にフランクな人だ」といった声が上がる。
息抜きは夫や2人の幼い娘と過ごす時間。長く男性優位が続いた社会で、娘たちの「未来への道が少しだけでも公平になるように尽力したい」。ジェンダー平等の旗手として走り続ける。