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毎日新聞2026/4/2 東京朝刊有料記事1035文字
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SNSなどインターネット上での投稿収益化の仕組みが、情報・言論の質を大きく低下させる――。こうした指摘が情報流通などの有識者から再三なされている。
総務省の有識者会議は、投稿閲覧数などに応じて広告収益を分配する仕組みが報酬目当てのデマ投稿を誘発すると問題視。とりわけ人命を左右する災害時に収益化を停止させる法整備を含め検討するとの中間報告を昨秋まとめた。選挙関連の投稿に関しても収益化の制限案を与野党が検討している。
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かたや大手プラットフォーム事業者は、自社の利益にもつながるこの仕組みを簡単には手放し難いようだ。規制案に反発している。
国による規制は表現の自由との兼ね合いから慎重さが求められる。ただ、もはや事業者の自主的対応がなければ当局が強制力の発動を検討せざるを得ないほど、ネット空間は混沌(こんとん)さを増す。
そうした中、投稿収益化と一線を引く企業がある。文章や画像の投稿プラットフォームを運営する「note」(東京)だ。2014年に生まれた同社のサイトは、今や1日約7万件が投稿され、毎月8000万人以上がアクセスするまでに成長している。
noteでは、コンテンツを表示しても広告は出ない。いくら多くの閲覧数を集めても、それだけで投稿者に収益は入らない。
そこには、はっきりとした設計思想がある。加藤貞顕・最高経営責任者(CEO)は「広告を置けば当然ページビューが欲しくなる。その一番簡単な稼ぎ方が他人の悪口や炎上だ。そうした『よくないインセンティブ』は打ち消す設計にしたかった」と説明する。
実際、差別的投稿やデマ情報は、ゼロではなくとも、目立っては見られない。「ユーザーからもよく『平和だね』と言われます」。こう社員が語るように、投稿が閲覧数だけで収益化されない仕組みは良質な言論に寄与しているようだ。
会社の経営面でもビジネスの健全性を保つための成長モデルを採用。「単一のKPI(重要業績評価指標)に拘泥しない」ことだ。
仮に「コンテンツ増加量」をKPIに設定しても、そのことで記事が探しにくくなればユーザーの離反を招きかねない。いずれはサイト価値も下げてしまう。
同社は、一見すると売り上げに直結しない指標もKPIに設定し、複数の指標をバランスよく追う経営に努めているという。
数字は時に麻薬となり、実社会や経営をゆがめかねないことを前提に、自社の社会的役割も自覚しながら事業を営む。その姿勢に学ぶべきことは多い。(専門記者)