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毎日新聞2026/5/24 東京朝刊840文字
国連本部で開かれたNPT再検討会議=米ニューヨークの国連本部で2026年5月13日午後5時19分、三木幸治撮影
国際社会の核管理体制はもはや崩壊寸前である。世界は核戦争と隣り合わせの危険な状況にはまり込みつつある。
ほぼ1カ月にわたって国連本部で開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、成果文書を採択できずに閉幕した。3回連続の決裂である。NPT体制の信頼性を大きく損ねる危機的な事態だ。
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核の力を振りかざす大国の横暴に歯止めをかける方策も見いだせず、存在意義を疑わせる結果となった。
責任は、核兵器保有の既得権にしがみつく大国にある。条約が定める軍縮交渉の義務を果たそうとせず、身勝手な核軍拡に走り、互いを責め合う。
米国は中国が「無謀な核軍拡を進めている」と非難し、中国は米国こそが「軍拡競争のリスクを高めている」と指摘した。
ロシアはフランスが提唱した欧州での「核の傘」構想を批判し、米英仏は中国が主張した「核の先制不使用の宣言」について実効性を疑問視し、退けた。
会議の傍らでは、ウクライナ侵攻を続けるロシアが核攻撃を想定した軍事演習を行い、イランを攻撃した米国は核使用を想起させる脅しを繰り返した。傲慢な核保有国のエゴにしか映らない。
非核保有国から「今こそ核使用への懸念を表明する必要がある」などの意見が相次いだ。だが、協議を重ねる度に文書の内容が骨抜きにされたのが実態だ。
NPT体制を再建するのは困難を極める。核保有国は軍拡競争に勝つことを何より優先し、「核なき世界」の実現は視野にない。
それでも最低限の規範は守る必要がある。失効した新戦略兵器削減条約(新START)に準じて米露は核戦力を抑制すべきだ。
保有国は非保有国に対する核不使用を約束し、起爆を伴うあらゆる核実験を厳に慎まなければならない。
日本の姿勢も問われている。官邸幹部の「核保有」発言や非核三原則見直し論議で、核廃絶への姿勢に疑問の目が向けられた。
会議でも日本の影は薄かった。前回は当時の岸田文雄首相が出席したが、今回は副外相にとどまった。核軍縮に対する真剣さが後退したと言われても仕方あるまい。