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毎日新聞2026/5/24 東京朝刊有料記事895文字
100周年の節目の記念シンポジウムで第二東京弁護士会は「身寄りなし問題」をテーマに選んだ=滝野隆浩撮影
<滝野隆浩の掃苔記(そうたいき)>
「身寄りなし問題」がメディアでもよく取り上げられるようになった。身寄りのない高齢者や親族に頼りたくない人は人生終盤、困難に直面する。数年前までの現場は支援したくても何もできず、徒労感が漂っていた。国が今年度から関連予算をつけたから、少し光が当たり始めた気がする。
第二東京弁護士会が1月に開催した100周年記念シンポジウムのタイトルも「身寄りがなくて困らない社会のために~身元保証問題と弁護士ができる支援等について考える~」だった。大きな弁護士組織が節目の年のシンポで取り上げるほど、「身寄りなし」は深刻な社会課題になったといっていい。
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シンポではひとりで暮らす高齢者が何に困っているかを考えその背景を探り、提言をしていた。資料は網羅的で、パネルディスカッションの登壇者も病院のソーシャルワーカー、自治体関係者、高齢者終身サポート事業者などそろっていた。
衝撃を受けたスライドがあった。シンクタンク、日本総研の沢村香苗さんが示した図。「資力」を縦軸に、「判断能力」を横軸にとって「人生終盤の支援がどの層に必要か」を考えた。下側の緑色部分は「福祉が対応」、上部の薄茶色部分は「民間の富裕層向けのサービスが一部カバー」。そして真ん中の白い部分がいちばん広く、「支援のはざまの層=2467・3万人(高齢者の約68%)」とあった。こんなに多いのか。
生活保護などの福祉の仕組みがあり、有料で終身サポートする事業者の健全性を担保する態勢も整いつつある。その一方で、資力や判断力がそれなりにある「7割のふつうの高齢者」には十分なサービスが届きにくいという指摘だ。行政にはいまヒトもカネも乏しい。すべての高齢者を支えることはできない。
「老後ひとり難民」という本を書き、国の政策づくりを支えている沢村さん。討論の最後に「制度づくりのジレンマ」を口にした。「いろんな事業をシステムにした結果、そこに『(人けのない)砂漠』ができないか。何もなかったときは皆で声を掛け合って助け合うし、自分で何とかしようともしていた。そうした雰囲気は地域に残しておきたい」(客員編集委員)