|
|
毎日新聞2026/5/25 東京朝刊819文字
写真展を見て回る中国の習近平国家主席(中央右)とロシアのプーチン大統領(同左)=北京の人民大会堂で2026年5月20日、スプートニク通信・ロイター
力ずくの行動で近隣地域を脅かしながら他国の専横を批判しても、大国の身勝手さを際立たせるだけである。
中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が北京で会談した。戦略的関係の強化やエネルギー、貿易など40件の協力で合意し、結束を誇示した。
Advertisement
一方で、米イスラエル両軍が2月に始めたイラン攻撃は国際法に違反すると糾弾し、弱肉強食の世界に戻る恐れがあると懸念を示した。米国の一極支配が失敗に終わったとして「公正で合理的な国際秩序」の構築を呼びかけた。トランプ米政権への批判を強めることで、欧米主導の秩序を揺るがそうとする思惑だ。
矛先は防衛力を強化する日本にも向いた。「急速な再軍備の動きが地域の平和と安定に深刻な脅威を与えている」と決めつけた。
西側諸国と距離を取るグローバルサウス(新興・途上国)の国々を自陣営に引き込み、国際世論で多数派を形成する狙いが透けて見える。
だが、先に強者の論理を持ち込んで、世界を不安定化させたのは中露自身だ。
プーチン政権はウクライナに侵攻し、力による現状変更を試みる。中国は「中立」を装うが、実際には侵攻を黙認するだけでなく、エネルギー購入や軍事転用可能な物資の輸出を通じてロシアの継戦能力を支えている。責任ある大国というのなら停戦に向けて圧力をかけるのが筋だ。
台湾統一を目指す習指導部は、首脳会談後に採択した共同声明に「独立反対」の文言を盛り込ませた。南シナ海や東シナ海でも威圧的な行動を続け、高いシェアを誇るレアアース(希土類)を外交カードに使う。
強権的な姿勢を改めない限り、「公正な秩序」を旗印にしても説得力はみじんもない。
看過できないのは、トランプ政権の身勝手な振る舞いが中露につけいる隙(すき)を与えていることだ。高関税の乱発やイラン攻撃に伴う原油高は、各国の米国に対する批判を招いている。
大国による力の支配は世界を混乱に陥れ、その打撃は自身にも跳ね返る。自明のことわりを認識すべきだ。