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毎日新聞2026/6/30 東京朝刊有料記事997文字
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米国とイランによる交渉の行方が注目されるなか、イスラエルと、北接するレバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラが戦闘を続けている。イスラエル北部に住むユダヤ人の友人からはストレスや疲れ、不安がにじむメッセージが届いている。
「子供たちがイライラしている」
「私も軍の予備役が長期化してヘトヘトだ」
戦闘の継続は「将来の安全」を確保したいと願う国民の多くが支持し、それを政権が反映させた側面が大きい。ただ戦闘の長期化が彼ら国民自身に大きな負荷を課しているのも事実だ。
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イスラエルの医療保険組織が昨年11月に実施した全国調査によると、国民の約3人に1人がカウンセリングなど心理的な支援を必要としている。過去1年間に兵役に就いた人の約4人に1人がうつの症状を訴え、約半数が睡眠障害に悩まされている。結果を受けて組織の代表、シガル・ダドンレビ氏は「政府に対し、我々が直面する健康上の課題に真摯(しんし)に対応するよう求める」と訴えた。
イスラエルは2023年10月7日にイスラム組織ハマスによる奇襲攻撃を受けて以来、戦闘続きだ。兵員不足が慢性化し、予備役兵は疲弊している。
イスラエル軍は「戦闘図」と呼ばれる部隊の配備計画を随時更新する。各部隊がいつ招集され、どのような任務に就くのかを示したカレンダーのようなものだ。私の知り合いは予備役の実戦任務に就いているが、カレンダーを見ながら、兵役が延長されるばかりだとため息をついた。ヒズボラとの戦闘長期化もあり、さらなる追加要員が求められているという。
イスラエルでは徴兵制により女性も軍役に就く。近年は両親のどちらかが常に予備役で不在というケースもあるようだ。
イスラエルの社会・経済政策を研究するシンクタンク「タウブセンター」が昨年9月に発表した調査結果によると、予備役に就く親を持つ子供は情緒的・行動的な退行を見せやすい。退行とはおねしょをしたり怒りっぽくなったり、強い不安や恐怖を訴えたりする状態だ。
とはいえ、市民の死者数はレバノンの方がイスラエルをはるかに上回っている。戦闘を継続するイスラエルへの国際的な非難の激しさは高まるばかりだ。
戦闘の継続は「敵」だけでなく自らの社会にも深い傷を刻み、次世代へと残す。戦争はたいてい「将来の安全のため」という顔をしているが、その拳は自らを破壊する力にもなる。(専門編集委員)