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毎日新聞2026/7/15 東京朝刊有料記事1031文字
越塚登・東京大大学院教授(情報科学)
政府は14日、国の人工知能(AI)の開発や利活用に向けた方針を示す「AI基本計画」を改定し、第2期基本計画を閣議決定した。今回の改定について専門家から話を聞いた。
データ戦略にも力を入れて 越塚登・東京大大学院教授(情報科学)
今回改定した新たな基本計画は、全体として方向性は間違ってはいないが、足りないものもあるという印象だ。
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計画の中で、「国産AI」の開発や活用にこだわらない方向性を示したのは現実的だろう。安全保障上、海外のAIが使えないとなれば国産AIを使うのが当然だが、すぐできるわけでもない。そこに踏み込まなかったのは賢明だった。
AIに関し、日本の勝ち筋として、特定の領域に特化した「バーティカルAI」とロボットなどにAIを組み込む「フィジカルAI」を挙げた。広い意味を持つ言葉だが、これはより良い戦略と思う。
ただ、AI戦略と同じくらいデータ戦略にも力を入れる必要があるだろう。フィジカルAIを産業に活用しようとするならば、AIに参照させる必要がある社外秘のデータなどはどのように扱うべきなのか。
欧州連合(EU)では生成AIにも利活用可能な包括的なデータ法が整備されているが、日本では位置づけも法整備もまだまだだ。これらの取り組みも同時に進めるべきだろう。【聞き手・渡辺暢】
リスクと責任意識して 上原哲太郎・立命館大教授(サイバーセキュリティー)
上原哲太郎・立命館大教授(サイバーセキュリティー)
AIを巡っては米アンソロピックの「クロード・ミュトス」が話題になったが、脆弱(ぜいじゃく)性の探索能力が人の能力を上回るのは想定の範囲内だった。やるべきことは従来と変わらず、攻撃される前に脆弱性をチェックし、改善するだけだ。新たな計画はミュトスの脅威を強調していた欧米の論調に引きずられた部分もあったように思う。
ただ、セキュリティー上の懸念はシステムの脆弱性への攻撃だけではない。計画でも重視されているエージェント型AIは、誤動作が重大な結果をもたらすこともある。複数のファイルを使った作業を依頼したのに、そのファイルを削除したり外部に送付したりするといったリスクもあり得る。
AIが起こしたことの責任をAIに負わせることはできないが、AIの作成者だけに責任を問うようになれば日本では最先端のAI開発が進まず、海外からの参入もなくなるだろう。
日本はAI機能を盛り込んだ製品や社会での実装で今後、世界との競争に勝とうとしている。そこまで意識した議論をしてほしいと思う。【聞き手・渡辺暢】