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毎日新聞2026/7/20 東京朝刊有料記事611文字
子どもたちはさまざまな体験を通して、外への興味を深める。自然の中で大学生らとレクリエーションを楽しむ子どもたち=大阪府貝塚市で2026年1月24日午後1時44分、岡崎英遠撮影
米政府は低所得家庭の割合が40%以上になる学校を、「タイトル1」と呼ばれるプログラムで財政支援している。ジョンソン政権が1965年、貧困層の学力向上を目指して創設した▲西部アリゾナ州フェニックスのグリーンウェイ中学校も対象校である。ここで先月、夏休みに予定していた野外学習が資金不足のため中止になった。落胆する生徒を救ったのは学校の常駐警察官、ショーン・リービーさんだ▲「せめて映画を見せてやりたい」。地元メディアによると、自腹で2000ドル(約32万円)を支払い、劇場を借り切った。「想像を絶する生活をしている生徒がいます。映画館に行った経験もないんです」。当日は生徒144人がポップコーンを手に人気アニメ「トイ・ストーリー5」を楽しんだ▲経済格差が広がり、貧困家庭の子は旅行や観劇など校外での体験が不足しがちだ。世界各国に共通する課題で、長期休暇中に浮き彫りになりやすい。友人が思い出を語る横で、「自分も」と願いながら我慢を強いられる▲その結果、感性を磨くきっかけがつかめず、自己表現が苦手になりがちだ。高所得家庭の子に比べ、経済的に成功するチャンスが少なく、格差は世代を超えて広がる▲日本もいよいよ夏休みである。どの子にとっても、新たな体験に胸を躍らせる夏であってほしい。リービーさんは映画が始まる前、照明の落ちた劇場で生徒にこう語りかけた。「私に感謝する必要はありません。その分を他の人への親切に向けてください」