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毎日新聞2026/8/2 東京朝刊有料記事869文字
遺贈寄付の倫理に関するガイドラインをつくった研究会の報告書。事業者には厳しい内容になっている=滝野隆浩撮影
<滝野隆浩の掃苔記(そうたいき)>
「世話になったお礼に死後、財産を寄付したい」。そう思い、民間の終身サポートサービスを利用する高齢者は少なからずいる。ただ弱みに付け込む業者もいて、「寄付分野の最大の闇」ともいわれている。そこで現場を知る弁護士らが研究会をつくり、「遺贈の倫理」に関するガイドラインをまとめた。
正式な名称は「高齢者等終身サポート事業における利用者等からの寄附に関する倫理ガイドライン」。報告書が完成し、メディア向けの説明会が7月24日、オンラインで行われた。
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独居の高齢者が増え、入院や施設入所時に求められる身元保証に悩み、死後事務の多さに不安を抱く人は多い。そこで「有料で、亡くなるまでサポート」をうたう民間事業者が急増しているのだが、誠実に支えようとする事業者もいれば、全財産遺贈をつけ狙う悪質事業者もいて「玉石混交」状態だという。10年前には公益財団法人が預託金を流用して経営破綻し社会問題になった。利用者は「どの事業者が信頼できるのか、わからない」のだ。悩ましい。
「利益相反」がキーワード。「全財産を遺贈」などという契約だと、事業者側はなるべく利用者がサービスを使わないほうがもうかる仕組みにもなる。しかも対象は人生最終盤をひとりで暮らす高齢者。相談できる人は限られ、金銭面を含め意思決定全般を事業者に委ねることにもなる。この「構造的リスク」に「闇」が潜んでいる。だから「倫理」が要る。
ガイドラインではこうした背景を説明したのち、利用者の自由意思確保の大切さを説き、「勧誘の禁止」や「寄付を契約などの前提とすることの禁止」、さらには「内部統制と透明性の確保」などを求めている。
研究会の中心となったのは、大分市で終活支援もやる葬儀社「ファイン」の茶屋元崇行・統括本部長。地方にいながら事務局を買って出て、事業者には厳しいガイドライン策定に汗をかいた。「たとえば地域の子供たちにのこす前向きな遺贈もあるのに、カネ目的の業者がいるのも事実。今回の成果を踏まえ、遺贈の社会的意義を訴えていきたい」(客員編集委員)