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毎日新聞2026/8/9 東京朝刊有料記事881文字
江戸川区社協が妙勝寺に建立した社協合葬墓。墓碑銘の「心」は斉藤猛区長が揮毫(きごう)した=滝野隆浩撮影
<滝野隆浩の掃苔記(そうたいき)>
東京23区の東端、江戸川区の区社会福祉協議会(社協)が7月、身寄りのない高齢者らの終活を支援する事業を始めた。驚くべきは「社協墓」まで建てたこと。これには理由があるらしい。
人生の最終盤、1人暮らしの人はさまざまな不安を抱えている。相続のことや墓に本当に入れるか、など。考え始めたらきりがない。こうした不安に応える「終身サポート」事業には非営利組織の社協や民間事業者が乗り出しているが、すべてを委託すれば費用がかさむという難点がある。悩ましい。
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今回、江戸川区社協が始めたのは「つながるエンディングサポート事業」。生活保護を受けていない、区内に住む単身高齢者が対象で、年会費3600円と預託金33万円で契約をすれば「定期的な見守り」や「火葬・納骨」などのサービスを受けられる。これが「基本プラン」。
費用を積み増して家財処分などまで依頼する特別コースがある一方、預託金が用意できない人には、死亡保険に入ってもらうコースを設置。さらに年齢・疾病要件から保険に入れない人には、月額5000円の積み立てをするなどして基本プランと同様のサービスが受けられるようにした。契約者が早く亡くなり費用が不足したときは、企業から寄付を募るなどした新設の「つながるエンディングサポート基金」から捻出する。
新事業の目玉は墓を建立したこと。区内の寺に相談して回り、ようやく日蓮宗妙勝寺が受け入れた。そうして「ともに安らかに」とある台座の上に「心」と刻まれた丸い石が載る社協合葬墓が完成。7月末に1人目が納骨された。
これまで身寄りのない人の遺骨は葬儀社が預かり、縁もゆかりもない遠くの寺などで供養された。これからは希望すれば「住み慣れた土地」で眠ることができる。「私たちは『死から始まる地域福祉』と考えています」。区社協安心生活センターの楠史子・副所長は話す。墓が決まると、人は安心する。友人知人が手を合わせてくれると思えるから。ひとりではない、と。「お墓のことで相談してもらえれば、つながれる。あとは私たちがきちんと伴走します」(客員編集委員)