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毎日新聞2026/8/31 東京朝刊有料記事1020文字
南鳥島近海の深海底から引き上げられたレアアースを含む泥など=東京都港区で2026年7月24日、木許はるみ撮影
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ハイテク製品や半導体製造に欠かせないレアアースを、日本で国産化できるのか。南鳥島沖の「海底レアアース」に注目が集まっている。7月には、貴重な「重希土類」であるイットリウムなどが含まれることが発表された。だが、この分野の研究を約40年続けてきた第一人者、岡部徹・東京大教授は「ばかげた話だ」と一蹴する。
レアアース、レアメタルの備蓄の重要性を訴え続けてきた岡部徹東大教授=長谷川直亮撮影
「レア」と呼ばれるが、豊富にあるものが意外と多い。レアアースのうち軽希土類のランタン、セリウム、ネオジムの埋蔵量は無尽蔵と言っていい。イットリウムも同様だ。レアメタルでも、チタンは118種類ある元素で9番目に多く地球に存在する。
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それでも「レア」だとありがたがられるのは原石から純度を高める精錬が難しく、手間がかかるためだ。さらに精錬は中国がほぼ一手に引き受けている。中国の意向次第で手に入りにくくなるため、国産への期待が高いのだ。
中国のレアアースを含む鉱床は地表に出ており、生産コストが圧倒的に安い。岡部さんは、コストが高い遠洋の深海開発で対抗するのは「現実的ではない」と話す。
岡部さんは、約20年前からレアアースの備蓄の充実を提唱する。政府も備蓄しているが、その量は1年分もないとみられる。そこで「価格が安い時期に国内需要の10年分、世界需要の1年分を備蓄すべきだ」と訴える。今は高騰しているが、過去の傾向を見れば下がる可能性は高い。
海底レアアースの生産コストを中国の10倍程度に抑えられたとしても、企業は高くて手を出せない。差額を補助金で埋めるくらいなら、その費用を備蓄費に充て、必要に応じて取り崩したり同盟国に融通したりすることで、供給危機を回避すべきだというわけだ。
「資源セキュリティー」は大事だが、日本国内でまかなえている資源は、極めて安価で生産できる石灰とヨウ素だけだ。コスト度外視で大枚をはたき、海底レアアースを活用できても、日本が資源で独り立ちできるわけではない。
忘れてはならないのが日本の強みだ。チタンを鉱石から金属にする生産力は中国に次いで世界2位。半導体の材料になるレアメタル生産でもリードする。リサイクル技術も高い。投資すべきはそこなのでは、と思う。
岡部さんは、金閣寺、銀閣寺ならぬ「チタン閣寺」の建立も提案する。「レアメタル、レアアース備蓄の象徴として京都に建てれば、後世の人がありがたく拝んでくれるだろう」。単なる「冗談」と笑っている場合ではないかもしれない。(論説委員)