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毎日新聞2026/9/6 東京朝刊852文字
米グーグルの本社=米西部マウンテンビューで2023年11月18日、大久保渉撮影
急速に進化する人工知能(AI)から知的財産を守るために、実効性のある対策が不可欠だ。
AI事業者に知財保護と透明性の確保を求めるプリンシプル・コード(基本原則)を、政府が策定した。グーグルやオープンAIなど国内でサービスを提供する全ての事業者が対象となる。
著作権者から請求があれば、コンテンツのアドレスがAIの学習データに含まれているかどうかを、一定の条件の下で開示するよう求める。AIの学習方法など基本情報の公開も要請する。
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2018年に改正された著作権法はAIの開発に当たり、著作権者の許可がなくてもデータを学習できるようにした。事業者の負担を軽減するためだったが、AIは想定を上回る速度で進化し、著作権の侵害が深刻化している。
オープンAIが22年にチャットGPTを公開したのをきっかけに、原作そっくりの画像や動画を生成できる高性能AIが続々と登場した。ネット上では、人気アニメの登場人物に酷似したキャラクターなどが出回る。
米パープレキシティは新聞社のウェブ記事を無断収集し、要約文とリンクを表示する仕組みを作った。ニュースの「ただ乗り」が横行する事態を招いている。
知財保護が急務となる中で、政府がAI規制に一歩踏み出したことは評価できる。改正著作権法でも、著作権者の利益を不当に害する場合は違法となる。学習が適切に行われているか検証するためにも開示は不可欠だ。
問題は実効性に疑問符がつくことである。
基本原則には法的拘束力がなく、事実上、AI事業者側の自主的な対応に委ねられている。機微に触れる情報の開示も求めておらず、全般的に事業者への配慮が目立つ内容だ。
欧州連合(EU)は、AI学習に使ったコンテンツの公表を罰則付きで義務づけている。豪州では、ニュースの対価を支払う契約を報道機関と結ばないIT大手に課徴金を納付させる法律が成立した。
AIの普及に伴い、利活用と権利保護とのバランスをどう取るかが重要な課題になっている。海外の動向も見極め、法整備を含めた適切な規制を検討すべきだ。