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毎日新聞2026/9/7 東京朝刊846文字
2型糖尿病の治療薬として承認されている「マンジャロ」=大阪市淀川区で2026年5月29日午後1時43分、松原隼斗撮影
糖尿病治療薬が、本来の目的とは異なる「やせ薬」として使われている。違法な個人売買も摘発された。安易な使用をさせないための方策を検討すべきだ。
問題となっているのは、2000年代以降に開発された新薬である。血糖値を下げるインスリンの分泌を促すとともに、中枢神経に働きかけて食欲を抑える効果もある。日本では、生活習慣などが原因で発症する2型糖尿病や、肥満症の患者向けの製造販売が承認されている。
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一方、減量が期待できるとして、ダイエット目的での使用が広がる。美容外科などのクリニックを訪れ、自由診療の形で入手する人が後を絶たない。
SNSに並ぶ糖尿病治療薬「マンジャロ」の売買を持ちかける投稿=大阪市内で2026年5月30日、茶谷亮撮影(画像の一部を加工しています)
今年6月には、SNSを通じて薬を無許可で販売したり販売目的で所持したりしていた男女3人を、医薬品医療機器法違反の疑いで大阪府警が書類送検した。
SNS上には、購入を持ちかける投稿があふれる。東京都が昨年度、医薬品の不正販売にあたるとして警告した投稿497件のうち、約7割が糖尿病薬の取引に関する内容だった。
治療目的以外で使った場合の安全性や有効性は確認されていない。急性膵炎(すいえん)や低血糖のような重い副作用が起きる恐れもある。ダイエットのために使い、体調を崩して救急搬送された事例もある。
若い女性が極端にやせると、無月経や不妊を招く。使用をやめた場合、体重が元に戻るリバウンドも起きやすいと報告されている。
23年には、ダイエット目的での使用が増えて薬の供給が不安定になり、糖尿病患者が入手しにくくなる事態も起きた。
厚生労働省は「適応外の使用は思わぬ有害事象による健康被害につながる恐れがある」として、全国の医療機関に適正使用を求める通知を出した。
にもかかわらず、今もネット上では糖尿病薬を使ったダイエットを紹介するクリニックのサイトが目に付く。承認内容にはない効用をうたう記載は問題だ。医師の倫理観が問われている。
そもそも健康な人への薬の処方は、適正使用とは言えない。厚労省は医療機関への指導を徹底するとともに、リスクを広く周知する必要がある。