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毎日新聞2026/10/7 東京朝刊English version838文字
生成AIの使用に関する主張について説明する日本俳優連合の池水通洋副理事長(前列左)=東京都千代田区で2024年11月13日午後2時52分、西本龍太朗撮影
人の声が法的保護の対象になるとの司法判断が初めて示された。その意義は大きい。
アニメなどで人気の声優、津田健次郎さんが、自身の声を模倣したナレーションを使う動画の削除を、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の運営会社に求めた訴訟だ。無断で公開して閲覧者数を増やし、投稿者が収益を得ていたと主張した。
判決は、声は肖像と同様に個人の人格の象徴であると指摘した。その上で、顧客を引きつける目的で声優らの声を無断利用する行為は、経済的価値の独占的な利用を認めるパブリシティー権の侵害にあたると判断した。
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生成人工知能(AI)の普及に伴って近年、著名人の声を勝手に学習させてほかの人の楽曲を歌わせたり、ナレーションに使ったりするコンテンツが、SNS上で横行している。
判決が出たことで、抑止効果が期待される。8月には法務省の検討会が同様の解釈指針を公表している。
問題の動画は投稿者によってすでに削除されており、判決は権利侵害があったかどうかは判断しなかった。それでも、声の権利が保障されると認めたのは、AIと権利保護の関係について関心が高まっているからだろう。
無断利用がまかり通れば、権利者は正当な対価を受け取れなくなる。活動の継続にも支障をきたしかねない。
このため、声優有志らが禁止を呼びかけ、日本俳優連合(日俳連)など業界団体も利用の際には許諾を得るよう求める声明を出していた。今回の判決に対し、日俳連は「大きな成果」と評価した上で、パブリシティー権を守る法整備が必要だと訴える。声は著作権保護の対象となっておらず、権利を明記した法律もないからだ。
プラットフォーム側の姿勢も問われている。津田さん側は当初、投稿者情報の開示を請求したが、TikTokは応じなかった。訴訟が提起されるとすぐにアカウントが削除されたという。
情報流通プラットフォーム対処法は偽・誤情報や著作権侵害への迅速な対応を義務付けている。パブリシティー権についても適切な仕組みが求められる。