受難の源流
第2章 - 退学処分を受けた大学生
1. 教祖に一喝された男子学生
梨花女子大学校の教授が統一教会に通い始めたころ、延禧大学校(現、延世大学校)の学生が「統一原理」を学んでいた。延禧大学校三年生の黄煥寀氏である。
黄煥寀氏が統一教会を初めて訪ねたのは、一九五四年十月二十九日。韓忠ファ助教授が統一教会に来た十一日後のことであり、金永雲副教授が同教会に入信する二か月ほど前のことである。
なお、延禧大学校の朴商來教授が、統一教会の信仰を持ったことが原因で免職になったのは、一九五五年三月初旬のことであった。
黄煥寀氏は幼い時に洗礼を受け、小学校の時からキリスト教徒として信仰生活を送ってきた。彼を統一教会に導いたのは、黄煥寀氏と同じメソジスト教会に通っていた学友の柳景圭氏である。
ある日、学内で柳景圭氏は黄煥寀氏に語りかけた。
「君は近ごろ信仰生活に喜びがある? 満足している?」
この何気ない問いかけが、黄煥寀氏の心をとらえた。
彼は自分の信仰生活に、行き詰まりを感じていたのである。黄煥寀氏が、今まで聖書の分からないところを牧師に質問すると、回答はいつも同じだった。
「聖書は理論的に納得するものではない。信仰は信じていくものだ」
信仰生活に満足していなかった黄煥寀氏は、ある日、大学の授業を抜け出して柳景圭氏が案内する教会に向かった。
黄煥寀氏が統一教会に行った理由は、聖書の理論的説明を聞いてみたかったからだ。さらに、もう一つの理由があった。遊び好きの柳景圭氏が急にまじめになり、別人のようになったのを目撃していたからである。
黄煥寀氏が訪ねたときの統一教会は、創立当時の場所(ソウル市城東区北鶴洞)にあった。みすぼらしい建物に黄煥寀氏は驚いた。
黄煥寀氏に「統一原理」を講義したのは、劉孝元氏である。午前十時から夕方まで、教会の理念を学んだ。黄煥寀氏は、講義の内容が理論的に展開されているのに感動を覚えた。
講義が終わって黄煥寀氏がその部屋から出ようとすると、講義をした劉孝元氏は出口の方に行って、六、七人の男女が座っている方に向かい、黄氏について報告を始めた。
そのときその部屋で、名勝地や有名な俳優の写真をハサミで切る仕事をしていたある若い青年が、黄煥寀氏に顔も向けずに口を開いた。
「学生はまじめに学校で勉強でもしているべきなのに、何のためにこのようなところにやってきたのか」
それは、吐き捨てるような言葉だった。
それを聞いた劉孝元氏は恐縮したようすで、黄煥寀氏に代わってそのジャンパーを着ている青年に対し、丁重に次のように語った。
「この学生は、よく講義を聞いていました。延禧大学数学科三学年に在学中の優秀な学生です」
初めて教会を訪ねた黄煥寀氏は、青年の言葉に不愉快な心情を一瞬感じたが、にっこりと笑った。この出来事を試練として受け止めたのである。
黄煥寀氏を見詰めたその青年は、黄氏がほほえみを浮かべたのを見てそれ以上何も言わなかった。
そのジャンパー姿の青年こそ、文鮮明師(当時三十四歳)であった。
その夜、黄煥寀氏は梁允永女史の家に行き、十人ほどで文師の話を聞いた。話の途中、文師は後ろに座っていた延禧大学校の女学生に
「昨日、何か霊的に受けたものはないか?」と尋ねた。
文師は彼女に見た夢を話すように勧めたが、彼女はなぜかためらって、話し始めなかった。その日、統一教会に来たばかりのキリスト教の信仰を持っている黄煥寀氏が、そこにいたからである。
彼女は、文師に質問した。
「すべてを話してもいいのでしょうか?」
「見た夢のすべてを話しなさい。何も隠すことはない」
文師にこのように言われた女学生は、昨夜見た夢について話し始めた。
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