미국에서의 센서 네트워크 관련 동향
□ 개요
- 미국에서 센서 네트워크의 이용이 가장 진전하고 있는 분야가, 에너지절감 및 스마트 그리드 등의 에너지분야와 교통·인프라분야임. 연방정부에서는 DOE와 DOT, NIST가 센서 네트워크의 연구개발 및 이용 확대를 추진해 왔으며, 현재 GSA가 동 청의 데이터센터의 에너지절감화를 목적으로 센서 네트워크의 활용 의향을 나타내고 있음. 한편, 민간기업에서는 FMS나 의료분야, 시큐리티 등 다양한 분야에서 센서 네트워크를 활용한 서비스를 개척하고 있으며, 시장 성장을 견인하는 역할을 담당하고 있음.
□ 에너지분야에서의 연방정부의 센서 네트워크 관련 대책
○ 제조업의 생산공정에서의 에너지 소비량의 관리
- 미국에는 M2M/센서 네트워크와 관련하여, 연방정부 전체에서 추진되고 있는 공통의 국가정책과 방침은 없으며, 에너지분야 및 교통·인프라분야를 중심으로 관련 부처가 각각의 목적에 따라 센서 네트워크의 이용을 추진하고 있음.
- 이 중, 에너지분야는, 에너지국(DOE)이 DOE 산하에 설치된 산업기술프로그램(ITP)에서 1999년부터 개시한 제조업의 생산공정에서의 에너지 소비량의 관리를 하기 위해 무선 센서 네트워크기술의 활용을 목표로 한 연구개발 프로젝트를 꼽을 수 있음.
- ITP는 알루미늄·화학물질·유리·광물·석유정제·철강과 관련한 제조업의 생산공정에서의 청정에너지의 이용을 목적으로 한 이산화탄소(CO2)배출량의 감축과, 에너지절감화를 실현하기 위한 기술 및 시스템에 관한 연구개발을 추진하기 위해 설치된 프로그램은, 대상이 되는 기술에는 열전공급시스템과 증기시스템, 압축공기기술 등이 포함되며, 센서·자동화기술도 그 중 하나로 꼽을 수 있음.
○ 스마트 그리드 분야
- 한편, DOE에서는 2009년 이후, DOE의 배전(配電)·에너지신뢰성국(OE)이, ①스마트 그리드 투자보조금 프로그램(SGIG), 및 ②스마트 그리드 실증프로그램(SGDP)이라 불리는 프로그램 중에서, 스마트 그리드에서 전력망의 모니터링과 택내(宅內)의 에너지관리, 전기자동차와 송전망간에 쌍방향으로 통신·송전하는 V2G(Vehicle-to-Grid)시스템에서 중요한 역할을 하는 센서 네트워크의 도입 및 이용을 추진하고 있음.
□ 교통·인프라분야에서의 연방정부의 센서 네트워크 관련 대책
○ 고도 교통시스템(ITS)분야
- 미국에서는 스마트 그리드를 중심으로 하는 에너지분야에 이어, ITS분야에서의 센서 네트워크의 이용이 주목되고 있어, 차체나 신호기 등의 교통 인프라에 설치된 센서를 차량 대 차량 통신(Vehicle-to-Vehicle: V2V) 및 차량 대 인프라 통신(Vehicle-to-Infrastructure: V2I)에 이용하는 것을 목적으로 한 연구 프로그램이 교통부(DOT)에 의해 추진되고 있음.
○ 도시 인프라 분야
- 또, 상무부(DOC)소관의 연구기관인 국립표준화기술연구원(NIST)에서는, 기술 이노베이션 프로그램(TIP)을 설치, 열화(劣化)·노후화된 교량이나 도로 등의 도시 인프라 보호를 목적으로 하여, 센서 네트워크를 활용한 도시 인프라의 모니터링시스템의 연구개발을 추진하고 있음.
□ 연방정부에서의 센서 네트워크 이용의 최근 동향
- 연방정부에서의 센서 네트워크를 활용한 최근의 예로는, 연방조달국(GSA)이 연방정부의 데이터센터의 에너지 효율화를 목적으로 2012년 1월에 설립한 ‘Green Providing Ground(GPG)프로그램’을 꼽을 수 있음. GSA는 동 기관이 운영하는 데이터센터의 에너지 소비량이 연간 15% 증가하고, 향후 5년간 2배로 증가할 것으로 예측되고 있어, 그 에너지 비용의 증대를 이전부터 우려하고 있어, 동 프로그램 설립 직후, GSA의 데이터센터에서 전력사용량의 삭감에 효과적으로 이용할 수 있는 기술에 관한 제안을 공모하였음.
□ 민간기업에서의 센서 네트워크 이용의 최근 동향
- 민간기업에서는, 연방정부가 센서 네트워크의 연구개발 및 도입·이용을 추진하고 있는 스마트 그리드와 스마트 홈, 교통·인프라 분야에서만이 아닌, 홈 시큐리티와 의료분야, 플리트 매니지먼트(Fleet Management) 등 다양한 분야에 센서 네트워크의 원격 모니터링기술을 활용하여, 선진적인 서비스를 제공하고 있음.
- EV나 전지 등 에너지 관련 기술의 미국 조사회사인 ID TechEX가 발표한 무선 센서 네트워크 관련 시장 보고서에 따르면, 세계 전체에서 무선 센서 네트워크 시장은 2011년의 4억 5,000만 달러 규모에서 2012년에는 20억 달러 규모까지 확대될 것으로 예측하고 있으며, 또, 미국기업이 세계에서의 동 시장의 성장을 견인할 것으로 보고 있음.
- 동 보고서에서는, 미국기업이 센서 네트워크 시장에서 타국의 기업을 크게 앞서는 이유의 하나로, 연방정부가 센서 네트워크의 이용 및 도입 확대에 자금을 출자하고 있는 점을 꼽고 있음. 또한 연방정부뿐만 아니라, IBM사와 마이크로소프트사 등의 대규모 IT기업과 대규모 통신사업자가 센서 네트워크/M2M분야에 높은 관심을 보이며, 기술의 발전과 신규사업의 개척에 주력하고 있는 점도 지적하고 있어, 미국의 대규모 테크놀로지 기업이 센서 네트워크의 기술 및 솔루션 개발에 주력하게 되었음. 이 때문에 향후에도 민간기업에 의한 센서 네트워크/M2M분야에서의 기술개발이 활발해져, 동 분야에서의 기술혁신을 주도하여 갈 것으로 예상됨.
<목차>
1. 에너지분야에서의 연방정부의 센서 네트워크 관련 대책
2. 교통·인프라분야에서의 연방정부의 센서 네트워크 관련 대책
3. 연방정부에서의 센서 네트워크 이용의 최근 동향
4. 민간기업에서의 센서 네트워크 이용의 최근 동향
米国におけるセンサネットワークに関する動向
■概要
米国においてセンサネットワークの利用が最も進んでいる分野が、省エネやスマートグリッドなどのエネルギー分野と交通・インフラ分野である。連邦政府においてはDOEやDOT、NISTがセンサネットワークの研究開発や利用拡大を推進してきた他、現在GSAが同庁のデータセンタの省エネ化を目的としてセンサネットワークを活用する意向を示している。一方で、民間企業ではフリートマネジメントや医療分野、セキュリティなど多様な分野においてセンサネットワークを活用したサービスを開拓しており、市場成長を牽引する役割を担っている。
■全文
1.エネルギー分野における連邦政府のセンサネットワークに関連した取組み
米国には、M2M/センサネットワークに関連して、連邦政府全体で推進されている共通の国家政策や方針は存在せず、エネルギー分野および交通・インフラ分野を中心として、関連省庁がそれぞれの目的に応じてセンサネットワークの利用を推進している。
製造業の生産工程におけるエネルギー消費量の管理
このうち、エネルギー分野については、まず、エネルギー省(Department of Energy: DOE)が、同省のエネルギー効率・再生可能エネルギー局(Office of Energy Efficiency and Renewable Energy: EERE)下に設置された産業技術プログラム(Industrial Technologies Program: ITP)(注1)で1999年より開始した製造業の生産工程におけるエネルギー消費量の管理を行うために無線センサネットワーク技術の活用を目指した研究開発プロジェクトが
挙げられる[英語サイト]。
ITPは、アルミニウム・化学物質・ガラス・鉱物・石油精製・鉄鋼に関連する製造業の生産工程におけるクリーンエネルギーの利用を目的とした二酸化炭素(CO2)排出量の削減と、省エネ化を実現するための技術やシステムに関する研究開発を推進するために設置されたプログラムで、対象となる技術には熱電供給システムや蒸気システム、圧縮空気技術などが含まれ、センサ・自動化技術もその一つに挙げられている。ITPでは、2005~2007年頃にかけて生産工程のエネルギー消費量の監視・管理に有効な技術として無線センサネットワークに注目し、米大手メーカーの
GE社[英語:PDFファイル]や
Honeywell社[英語:PDFファイル]に資金を拠出、製造工場などに導入できる無線センサネットワークを活用した監視・管理システムの研究開発プロジェクトを奨励していた。しかし、2008年以降は同システムに関する研究開発が下火に転じている。これは、2008年のリーマンショックを契機とした米国の製造業の低迷、それと関連した予算の縮小、またセンサネットワークに関しては製造業よりもスマートグリッド分野における利用がより注目されるようになったことが一つの理由として考えられる。
スマートグリッド分野
一方、DOEでは2009年以降、同省の配電・エネルギー信頼性局(Office of Delivery and Energy Reliability: OE)が、①スマートグリッド投資補助金プログラム(Smart Grid Investment Grants: SGIG)、および②スマートグリッド実証プログラム(Smart Grid Energy Demonstration Projects: SGDP)と呼ばれるプログラムの中で、スマートグリッドにおいて電力網のモニタリングや宅内のエネルギー管理のほか、電気自動車(EV)と送電網間で双方向に通信・送電するV2G(Vehicle-to-Grid)システムにおいて重要な役割を果たすセンサネットワークの導入・利用を推進している。両プログラムは、2009年2月にオバマ大統領が、米国再生・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act: ARRA)を通じてスマートグリッド関連プロジェクトに総額45億ドルを投資することを発表したことをきっかけに新設されたものである。このうち、SGIGプログラムは、全米規模のスマートグリッド構築のため電力事業者やスマートメーター製造企業を中心としてスマートメーターおよびセンサ、関連機器の配備とネットワークの拡大を進めることを目的としており、総額34億8,200万ドルが投入されており、オバマ政権はSGIGを通じて、全国的な送電網の監視・管理に必要な850台以上の無線センサを整備することを目標として
掲げている[英語サイト]。一方、SGDPプログラムでは、送電網のモニタリングシステムなどスマートグリッドに関連する先進技術の開発を促進するための実証実験を行うことを目的としており、総額6億8,400万ドルが拠出されている。具体的にSGDPで実施されているセンサネットワークに関連したプロジェクトには、米国の電力業界団体であるNational Rural Electric Cooperative Associationによる電力網のリアルタイムのモニタリングおよびデータ収集を目的に先進的な電圧検出器や事故・故障検出器を導入するための
実証実験プロジェクトが挙げられる[英語:PDFファイル]。
注1:ITPは、2011年6月24日にオバマ大統領が、産学官の連携を通じて国内の製造業の再活性化を目指すための政策として発表した「先端製造パートナーシップ(Advanced Manufacturing Partnership: AMP)」をきっかけに、DOEにおいて製造業における先進技術の研究開発を推進する部署として先進製造技術局(Advanced Manufacturing Office: AMO)に変更された。
2.交通・インフラ分野における連邦政府のセンサネットワークに関連した取組み
高度交通システム(ITS)分野
米国では、スマートグリッドを中心とするエネルギー分野に次いで、ITS分野におけるセンサネットワークの利用が注目されており、車体や信号機などの交通インフラに取り付けたセンサを車車間(Vehicle-to-Vehicle: V2V)通信や路車(Vehicle-to-Infrastructure: V2I)通信に利用することを目的とした研究プログラムが運輸省(Department of Transportation: DOT)によって推進されている。DOTにおいて交通システムの技術研究を担当する研究・革新技術局(Research and Innovative Technology Administration: RITA)で、ITSの研究開発プログラムを管轄するITS合同プログラム局(ITS Joint Program Office)は2009年12月、ITS分野の5カ年(2010~2014年)研究計画として、「ITS戦略的研究計画(ITS Strategic Research Plan)」を策定し、同計画の中心となるプログラムとしてセンサネットワークを活用したV2VおよびV2I間の専用狭域通信(Dedicated Short Range Communication: DSRC)(注2)の実現を
目指している[英語:PDFファイル]。さらにITS合同プログラム局では、V2VおよびV2I間におけるDSRCの実証実験を推進する一方で、州政府の運輸局、自動車メーカー、およびDOTの公式諮問委員会として設置されている非営利ITS推進団体であるITSアメリカ(ITS America)などの関連団体と共同で、車体に設置したセンサを通して近隣する車体間との距離や前後の車体の動きを受信し、衝突事故防止に繋げるための次世代アプリケーションの開発にも
取り組んでいる[英語サイト]。
都市インフラ分野
また、商務省(Department of Commerce: DOC)所管の研究機関である国立標準化技術研究院(National Institute of Standards and Technology: NIST)では、「技術イノベーションプログラム(Technology Innovation Program: TIP)」を立ち上げ、劣化・老朽化する橋梁や道路などの都市インフラの保護を目的として、センサネットワークを活用した都市インフラのモニタリングシステムの研究開発を推進している。TIPは、ブッシュ前政権時の2007年8月9日に発表された米国競争法(America COMPETES Act)に基づき、国家の優先研究分野においてハイリスク・ハイリターンな研究開発を推進する目的で設置されたプログラムである。同プログラムでは、大学機関と民間企業による産学連携の研究プロジェクトが推進されており、主要なプロジェクトには、ミシガン大学(University of Michigan)が橋梁エンジニアリング企業やアンテナ技術開発企業など5社と共同で、劣化診断ができる検知機能や自己修復機能を持つスマートマテリアル(注3)を使用したセンサを利用し、橋梁や道路などの構造健全性をモニタリングするシステムを開発する
プロジェクト[英語:PDFファイル]や、ノースイースタン大学(North Eastern University)が地球物理学分野や光検出技術の研究を専門分野とする大学機関や企業と共同で、車体と橋梁や道路に取り付けたセンサを通して、車両を走行させた状態で路面の腐食状態や橋梁の老朽化、重量トラックによる負荷を検出・監視できるシステムを開発する
プロジェクトが含まれる。[英語:PDFファイル]なお、これらのプロジェクトでは、センサネットワークの活用が最も期待されている監視に留まらず、走行車両重量と橋梁や道路の構造変化の相関を分析できる最先端のセンサ導入や、各地域で導入したセンサから取得したデータをネットワークを通じて集約し相互に接続するシステムの開発、橋梁に取り付けられた複数のセンサより得られるデータを統合し、自動的に構造物への障害や振動の程度を算出し橋梁の構造健全性を分析するセンサネットワーク・システムの開発も目指されている。
注2:DSRCとは、ISO(国際標準化機構)やITU(国際電気通信連合)で国際標準化され、車両通信に特化して設計された産業・科学・医療(Industrial, Science, Medical: ISM)向けの5.8GHz帯を用いた一方向、または双方向の無線通信技術のこと。
注3:スマートマテリアルとは、材料自体が外部からの刺激を検出し、刺激により得た破損に対して自己修復を行うなど、特定の変化に対応できる材料のこと。
3.連邦政府におけるセンサネットワーク利用の最新動向
連邦政府におけるセンサネットワークを活用した最近の例としては、連邦調達局(General Services Administration: GSA)が連邦政府のデータセンタのエネルギー効率化を目指して2012年1月に立ち上げた「Green Providing Ground(GPG)プログラム」が挙げられる。GSAは同機関が運営するデータセンタのエネルギー消費量が年間15%増加し、今後5年間で倍増すると予測しており、そのエネルギー費用の増大をかねてから懸念しており、同プログラム設立直後、GSAのデータセンタにおいて電力使用量の削減に効果的に利用できる技術に関する提案を広く公募した。そしてGSAは、農務省(US Department of Agriculture: USDA)と、カリフォルニア大学(University of California)が運営するDOEの研究所であるローレンス・バークレー国立研究所(
Lawrence Berkeley National Laboratory: LBNL)が共同で提出したセンサネットワークを活用したプロジェクトが選出された。同プロジェクトでは、データセンタの省エネ技術の開発を専門とするSynapSense社のセンサを、データセンタの空調機やサーバに配備し、ネットワークを通じてリアルタイムの電力使用料のデータを取得・モニタリングしながら、データセンタにおけるエネルギー使用量の調整を行うことでエネルギー消費量の削減に繋げることが
期待されている[英語サイト]。
同プロジェクトでは、USDAの情報担当局(Office of Chief Information Officer)が管轄する国家情報技術センタ(National Information Technology Center: NITC)のデータセンタを利用した実証実験が行われ、LBNLは2012年3月、実証実験の結果と実証実験で利用したシステムをGSAのデータセンタに利用した場合に期待できる効果を分析してまとめた報告書をGSAに提出した。同報告書の中でLBNLは、実証実験においてNITCのデータセンタに600台の無線センサを設置し、その電力消費状況を24時間監視、またセンサより集積したデータを分析しデータセンタの電力使用状態を可視化することで、電力消費量を効率的に調整できるようになり、結果として空調機による電力負荷を48%削減し、データセンタ全体では17%の電力使用量の削減に繋がったと報告している。これは、年間で換算すると657MWhの節電を意味し、LBNLは省エネによりもたらされるCO2排出量も年間換算量で542トン削減できると推測している。またLBNLは、データセンタのエネルギー効率を示す指標である電力使用効率(Power Usage Effectiveness: PUE)(注4)についても1.83から1.51に改善したと報告しており、最終的にセンサネットワークの配備により年間6,100万ドルのコスト削減に繋がると
結論付けている[英語:PDFファイル]。GSAは、LBNLの報告を高く評価しており、GSAのデータセンタだけではなく、他の連邦省庁や大規模なデータセンタを抱える民間企業においても、データセンタにおけるセンサネットワーク技術を活用できるとして期待を
寄せている[英語サイト]。
注4:PUEは、データセンタ設備のエネルギー効率を表す指標として、2007年、米国のデータセンタの省電力化を推進する業界団体The Green Gridが発表したものである。一般的にデータセンタのPUEは平均2.0~2.5程度とされている。
4.民間企業におけるセンサネットワーク利用の最新動向
このように、連邦政府機関はエネルギーおよび交通・インフラ分野においてセンサネットワークの利用拡大を目指したプロジェクトを推進しており、こうした政府の取組みを受けて民間企業は、先進的なセンサ技術の開発やセンサネットワークを利用した新たなサービスを積極的に提供するようになっている。
民間企業においては、連邦政府がセンサネットワークの研究開発および導入・利用を推進しているスマートグリッドやスマートホーム、交通・インフラ分野だけではなく、ホームセキュリティや医療分野、フリートマネジメント(注5)など多様な分野にセンサネットワークの遠隔モニタリング技術を活用し、先進的なサービスを提供している。例えば、医療分野に関しては、世界的医療機器メーカーであるPhilips社の子会社で医療専門ソリューション開発会社であるVISICU社が、集中治療室の患者の状態を、患者に取り付けている医療機器に装着したセンサを通して心拍数や血圧などのリアルタイムの情報により監視することが可能な「eICU」ソリューションを
開発・提供している[英語サイト]。また、EVの導入を受け近年注目されているフリートマネジメントでは、車輌トラッキング・ソリューションを提供するInSight USA社が、GPSおよび通信モジュールを搭載した車輌速度計測センサを通して車輌の走行状態や位置情報を監視・追跡できる「StreetEagle」ソリューションを
開発・提供している[英語:PDFファイル]。EVや電池などエネルギー関連技術の米調査会社であるIDTechEXが2011年8月に発表した無線センサネットワークに関する市場レポートによると、世界全体で無線センサネットワーク市場は2011年の4億5,000万ドル規模から2021年には20億ドル規模にまで拡大すると予測しており、また米国企業が世界における同市場の成長を牽引するとしている。同レポートでは、米国企業がセンサネットワーク市場において他国の企業を大きくリードする理由の一つとして、連邦政府がセンサネットワークの利用・導入拡大に資金を拠出している点が挙げられている。さらに連邦政府だけでなく、IBM社やMicrosoft社などの大手IT企業や大手通信事業者がセンサネットワーク/M2M分野に高い関心を抱き、技術の発展や新規事業の開拓に力を入れている点も指摘されており、米国の大手テクノロジー企業がセンサネットワークの技術・ソリューション開発に注力するようになっている。そのため、米国では、今後も民間企業によるセンサネットワーク/M2M分野における技術開発が活発化し、同分野における技術革新を主導していくことが予想される。
注5:フリートマネジメントとは、タクシーやレンタカー、業務用車輌など複数の車輌を追跡、また走行状態や走行位置などを確認し管理することをいう。
※本文中に記載されている会社名、製品名は各社の登録商標または商標であり、敬称名は略させていただきました。